第24回|1955 Chevrolet Production Numbers
生産台数は一つの数字ではなかった。資料の食い違いから1955 Chevyを調べる
1955 Chevrolet Production Numbers|BODY別生産台数と資料の食い違いを徹底研究
1955 Chevroletは何台作られたのか。
一見、簡単な質問に思えます。
ところが調べ始めると、数字が合いません。
例えば1955 Nomad。
ある資料では、
8,386台
別の資料では、
8,530台
1955 Bel Air Convertibleも、
41,292台
と、
42,278台
があります。
Sedan Deliveryになると、さらに激しい。
8,135
8,255
8,811
10,639
複数の数字が流通しています。
では、どれが正しいのか。
MUDIMUでは、ここで都合のいい数字を一つ選びません。
数字が違うなら、まず「何を数えた数字なのか」を調べる。
今回は1955 ChevroletのProduction Numbersそのものと、数字が食い違う理由を整理します。
PRODUCTION MASTER|まず2つの数字群を並べる
現在MUDIMUで整理している1955 Passenger ChevroletのProduction Dataには、大きく二つの数字群があります。
便宜上、
Figure A
Figure B
として管理します。
| Model / BODY | Fisher Style | Figure A | Figure B |
|---|---|---|---|
| 150 2-Door Sedan | 1211 | 66,416 | 66,833 |
| 150 4-Door Sedan | 1219 | 約29,898 | 34,906 |
| 150 Utility Sedan | 1211B | 11,196 | 12,139 |
| 150 Handyman | 1263F | 17,936 | 18,496 |
| 210 2-Door Sedan | 1011 | 249,105 | 約250,000 |
| 210 4-Door Sedan | 1019 | 317,724 | 340,222 |
| Delray Club Coupe | 1011A | 115,584 | 116,406 |
| 210 Sport Coupe | 1037 | 11,675 | 11,685 |
| 210 Townsman | 1062F | 83,303 | 84,239 |
| 210 Handyman | 1063F | 28,918 | 29,419 |
| Bel Air 2-Door Sedan | 1011D | 168,313 | 168,826 |
| Bel Air 4-Door Sedan | 1019D | 345,372 | 366,293 |
| Bel Air Sport Coupe | 1037D | 185,562 | 189,269 |
| Bel Air Convertible | 1067D/DTX | 41,292 | 42,278 |
| Beauville | 1062DF | 24,313 | 25,772 |
| Nomad | 1064DF | 8,386 | 8,530 |
| Corvette | 2934 | 700 | 700 |
これを見ると、一つ重要なことが分かります。
特定の一車種だけが食い違っているわけではない。
多くのBODYで、AとBの数字が違います。
これは単純なTypoだけでは説明しにくい。
SOURCE FAMILY|数字を単独で保存しない
ここでMUDIMUではProduction Numberの管理方法を変えます。
「Nomad=8,386」
とは保存しません。
代わりに、
MODEL
FISHER STYLE
FIGURE
SOURCE
SOURCE FAMILY
TOTAL PRODUCTION
SOURCE TYPE
GM PRIMARY CONFIRMATION
MUDIMU VERDICT
をセットで記録します。
つまり、
数字そのものではなく、その数字がどこから来たのかまで保存する。
これがProduction研究の基本になります。
GRAND TOTAL|総生産台数まで違う
さらに困るのが1955 Chevrolet全体のProductionです。
現在確認している資料には、
1,776,652台
という数字があります。
しかし別の資料では、
1,713,478台
さらに、
1,704,667台
という数字もあります。
数百台の差ではありません。
最大で7万台以上違います。
だから、
「1955 Chevroletは○○台作られた」
と簡単に一本化するのは危険です。
1,713,478|MotorCitiesの数字
Robert TateによるMotorCitiesの記事、
“The 1955 Chevrolets Were Some of the Hot Ones”
では、1955 Chevrolet Productionを、
1,713,478台
としています。
さらに、
150 Series
134,257台
210 Series
805,309台
といったSeries Totalも紹介しています。
またBel Air Convertibleは、
41,292台
としています。
つまりMotorCitiesの数字は、先ほどのFigure A側と重なる部分があります。
これは重要な手掛かりです。
ただしMotorCitiesは後年のSecondary Source。
ここで調査を止めず、記事のBibliographyからPeriod / GM資料へ戻る必要があります。
GM HERITAGE|公式資料なら全部解決する?
ではGM Heritageの1955 Chevrolet Vehicle Information Kitを見れば解決するのか。
残念ながら、そう簡単ではありません。
GM Heritage資料は1955 Chevrolet研究の非常に重要なPrimary Sourceですが、現在確認している範囲では、
全Passenger BODYについて、今回必要なModel-by-Model Production Tableを完全に解決する形では掲載していません。
つまり、
GM資料に数字が見つからない=Secondary Sourceの数字をFactory確定値にしてよい
ではありません。
Primaryで確認できていないものは、確認できていないまま残します。
CORVETTE|700台は例外的に強い
その中でCorvetteは比較的明快です。
1955 Corvette。
Model 2934。
Production、
700台
この数字はGM Heritage資料でも確認できます。
したがってMUDIMUでは、
1955 Corvette Production = 700
については、Passenger ChevroletのA/B conflictとは別に扱います。
これは重要です。
全部の数字を同じConfidence Levelにしてはいけません。
NOMAD|8,386か8,530か
ではNomadを見ます。
1955 Chevrolet Nomad。
Model 2429。
Fisher Style、
1064DF
Productionは、
Figure A
8,386
Figure B
8,530
差は、
144台
です。
小さな差に見えるかもしれません。
しかし図鑑では重要です。
8,386を採用するなら、
なぜ8,530ではないのか
を説明できなければいけない。
現段階のMUDIMUでは、
1955 Nomad Productionは8,386台と8,530台の二つの主要数字を記録し、Source Familyを分けて保持する。
これが結論です。
6,103|Nomadで見つかった第三の数字
Nomad研究では、
6,103台
という数字も見つかりました。
一瞬、
「また第三の1955年Production?」
となります。
しかし調べると、
6,103は1957 NomadのProduction Numberとして使われる数字
でした。
つまり1955年候補から除外できます。
これは非常に大切な例です。
数字が違うから全部Conflictなのではない。年式違いが混入している場合もある。
だから数字の出典を追う必要があります。
CONVERTIBLE|41,292 vs 42,278
Bel Air Convertible。
Model 2434。
Fisher Style、
1067D / 1067DTX
Productionは、
Figure A
41,292
Figure B
42,278
差、
986台
です。
MotorCitiesは41,292を採用しています。
しかしそれだけで42,278を削除しません。
MUDIMUでは、
41,292=有力なSecondary Sourceで確認
42,278=別Source Familyに存在
として両方残します。
Primary Production Recordで定義まで確認できた段階で判定します。
210 SPORT COUPE|ほとんど同じなのに違う
面白い例が、
210 Sport Coupe。
1037
です。
Figure A、
11,675
Figure B、
11,685
差は、
わずか10台
です。
これを見ると単純な転記差にも見えます。
しかし、他BODYでは数百・数千・数万台違う。
したがって、
「全部Typo」
とも言えません。
差の大きさだけで原因を決めない。
Source Definitionを追います。
4-DOOR SEDAN|差がかなり大きい
210 4-Door Sedan。
Figure A、
317,724
Figure B、
340,222
差は、
22,498台
Bel Air 4-Door Sedanも、
345,372
対
366,293。
差は、
20,921台
です。
これはNomadの144台差とは規模が違います。
ここまで違うと、
Calendar Year
Model Year
Assembly / Registration
Domestic / Export
Series Classification
など、集計定義そのものの違いを疑う必要があります。
ただし現段階で原因は確定していません。
したがってMUDIMUでは、
「おそらく○○だろう」
を事実として書きません。
HANDYMAN|好きなBODYだからこそ数字を盛らない
150 Handyman。
1263F
Figure A、
17,936
Figure B、
18,496
210 Handyman。
1063F
Figure A、
28,918
Figure B、
29,419
です。
MUDIMUではHandymanを非常に重要視しています。
しかし好きなBODYだからこそ、
「希少だった!」
と都合よく少ない数字を採用することはしません。
希少性を演出するためにProduction Numberを選ばない。
これはClassic Car記事ではかなり重要な原則です。
SEDAN DELIVERY|最大の未解決案件
そして1955 Sedan Delivery。
Model 1508。
Fisher Style、
1271
です。
現在見つかっているProduction Numberには、
8,135
8,255
8,811
10,639
があります。
4種類です。
これは単なるA/B比較では処理できません。
Sedan DeliveryはPassenger ChevroletとCommercial Chevroletの境界に位置するBODYでもあります。
したがって、
Passenger productionに含めた数字
Commercial productionとして集計した数字
Model Year / Calendar Year
など、集計方法の違いが存在する可能性があります。
しかし、まだ確定していません。
したがって現段階のMUDIMU Verdictは、
UNRESOLVED
です。
WHY NUMBERS DIFFER|考えられる理由
Production Numberが違う理由として一般的に考えられるのは、
Model YearとCalendar Yearの違い
ProductionとRegistrationの違い
DomesticとExportの扱い
Assemblyの集計範囲
Series / Body classificationの違い
Commercial vehicleの扱い
Late introduction modelの集計
後年資料での転記ミス
などです。
ただし注意してください。
これは、
「1955 Chevroletの差はこれが原因です」
という結論ではありません。
調査仮説
です。
原因を特定するには、それぞれのSourceが何を数えているかを確認する必要があります。
MID-YEAR ADDITIONS|生産期間も同じではない
さらに1955年はBODY LineupがModel Year開始時から完全固定されていたわけではない可能性があります。
MotorCitiesでは、
Nomad
February 1955にLineへ追加
210 Sport Coupe
June 1955に追加
としています。
この情報はSecondary Sourceなので、今後Primaryで再確認します。
しかし正しければ非常に重要です。
Production Numberを比較するとき、
すべてのBODYが同じ期間生産されたわけではない。
ということになります。
11,000台程度しかない210 Sport Coupeを単純に「人気がなかった」と判断することもできません。
生産開始時期を考慮する必要があります。
PRICE × PRODUCTION|数字を重ねると面白い
前回Original Priceを調べました。
例えば、
Bel Air Sport Coupe
$2,067
Production 約185,000〜189,000
Nomad
$2,472
Production 約8,400〜8,500
210 Sport Coupe
$1,959
Production 約11,700
Convertible
$2,206
Production 約41,000〜42,000
価格が高いから少ない。
安いから多い。
そんな単純な関係ではありません。
BODY。
投入時期。
Series。
Market Position。
用途。
価格。
これらを重ねて初めて1955 Chevroletの商品構成が見えてきます。
PRODUCTION ≠ SURVIVAL|現在の希少性とは違う
もう一つ絶対に分けたい数字があります。
Production Number
と、
Surviving Cars
です。
1955年に10,000台作られたBODYが、現在何台残っているかは別問題です。
Commercial Vehicleは酷使された可能性がある。
廉価Seriesは保存されにくかった可能性がある。
高級・特殊BODYはCollectorが保存した可能性がある。
したがって、
Productionが多い=現在も多い、ではない。
MUDIMUでは将来、ProductionとSurvivalを別の研究項目として扱います。
RARE|「希少」の使い方にも注意する
Classic Carの記事では、
Rare
という言葉が非常によく使われます。
しかし何を基準にRareなのか。
Productionが少ない?
現存台数が少ない?
Option Combinationが少ない?
特定Colorが少ない?
BODYそのものが珍しい?
全部違います。
例えばCorvetteは700台。
Nomadは約8,400台。
150 Handymanは約18,000台。
しかし現在の市場で見かける頻度は、単純なProduction順とは限りません。
だからMUDIMUでは、
「Rareだから価値がある」だけの記事にしない。
まず数字の意味を確認します。
SOURCE GRADE|数字にも信頼度を付ける
MUDIMUではProduction NumberにもSource Gradeを付けます。
A
Chevrolet / GM / FisherなどPrimary Sourceで定義まで確認。
B
複数のPeriod Sourceまたは強い相互確認。
C
信頼できるSecondary Source。
D
数字は流通しているがSource Chain未確認。
?
複数資料がConflictし、未解決。
例えば、
1955 Corvette = 700
はA側へ置ける。
一方、
1955 Nomad = 8,386 / 8,530
は現段階ではConflictを保持。
Sedan Deliveryはさらに未解決度が高い。
これなら読者にも、
どこまで確定している数字なのか
が分かります。
MUDIMU PRODUCTION LEDGER|最終的には裏側に台帳を持つ
公開記事とは別に、MUDIMU内部ではProduction Ledgerを持ちます。
項目は、
YEAR
SERIES
MODEL
FISHER STYLE
BODY
FIGURE
SOURCE
SOURCE FAMILY
TOTAL FAMILY
SOURCE TYPE
CONFIDENCE
CONFLICT
NOTE
です。
例えばNomadなら、
1955 / Bel Air / 2429 / 1064DF / Nomad / 8,386 / Source A ...
1955 / Bel Air / 2429 / 1064DF / Nomad / 8,530 / Source B ...
という形で両方残す。
後からPrimary Sourceが見つかったら、古い数字を消すのではなく、
VERDICTを更新する。
これなら研究が積み上がります。
WHY MUDIMU|分からない数字も資料になる
普通のWeb記事なら、
「1955 Nomadは8,386台生産されました。」
のほうが読みやすい。
しかし本気の図鑑なら、
8,386
と、
8,530
が存在すること自体が情報です。
そして、
「なぜ違う?」
と追う。
答えが出ていないことまで記録する。
これがMUDIMUの資料価値になります。
1955 CHEVROLET PRODUCTION NUMBERS
正しい数字を一つ選ぶ前に、その数字が何を数えているのかを調べる。
1955 ChevroletのProduction Numberは、想像以上に複雑です。
Nomad。
8,386 / 8,530。
Convertible。
41,292 / 42,278。
150 Handyman。
17,936 / 18,496。
210 Sport Coupe。
11,675 / 11,685。
Sedan Delivery。
8,135 / 8,255 / 8,811 / 10,639。
そして1955 Chevrolet全体でも、
1,704,667。
1,713,478。
1,776,652。
複数の数字があります。
だからMUDIMUでは、
数字を決めるために資料を捨てない。
資料が違うなら、その違いを研究対象にする。
これが1955 Chevrolet Production Masterの出発点です。
MUDIMU Research Note
1955 ChevroletのBODY別Production Numberには複数のSource Familyが存在し、現段階では全数字をGM Primary Sourceで統一できていません。
特に継続調査するのは、
Figure A / Figure Bが何を数えているのか
1955 Chevrolet総生産1,704,667 / 1,713,478 / 1,776,652の定義差
Sedan Delivery 1271の4種類の数字
Nomad 8,386 / 8,530
Convertible 41,292 / 42,278
です。
Nomadについて流通する6,103は1957年Nomadの数字と確認できるため、1955年Production候補から除外します。
Corvette 700台はGM Heritage資料で確認できるため、Passenger BODYの未解決数字とは区別します。

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