第8回|1955 Chevrolet 150 Handyman
1955-008|VO2
1955 Chevrolet 150 Handyman|一番安いワゴンが、一番格好いい。
この記事の役割
これまでの記事は「1955全体」「Series」「Wagon体系」という親記事でした。
第8回からは一台を徹底的に調べる個別図鑑へ入ります。
基本データは、
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| Series | One-Fifty / 150 |
| Model | 1529 |
| Fisher Style | 55-1263F |
| Body | 2-Door Station Wagon |
| Name | Handyman |
| Seating | 6 passenger |
| Wheelbase | 115 in |
| Rear | Upper Liftgate + Lower Tailgate |
記事の芯はこれです。
Nomadではない。だからいい。装飾の少ない150だからこそ、1955 Chevroletの2ドアWagon BODYそのものが見えてくる。
INTRODUCTION|Nomadの隣にいた2ドアWagon
1955 Chevroletの2ドアWagonと聞けば、Nomadを思い浮かべる人が多い。
それは当然だ。
Nomadは特別だった。
しかし1955年、Chevroletにはもっと普通で、もっと実用的な2ドアWagonが存在した。
150 Handyman。
Model 1529。
Fisher Style 55-1263F。
6人を乗せることができ、Rear Seatを畳めば荷物を積める。
豪華なBel Airでもない。
特別なNomadでもない。
それでも長いRoofと大きなRear Quarter Glass、2枚だけのSide Doorを持つ姿には、2ドアWagon独特の格好よさがある。
MUDIMUが1955 Chevroletで特に残したいBODYの一つが、この1263Fだ。
1263F|数字からHandymanを見る
「1955 Chevrolet Handyman」だけでは不十分です。
1955年には210にもHandymanがあります。
150 Handymanは、
Model 1529 / Fisher Style 55-1263F
210 Handymanは、
Model 2129 / Fisher Style 55-1063F
です。
だから実車を調べるときは「Handyman」という名前だけでなく、1263Fなのか1063Fなのかを見る必要があります。
これがMUDIMUのBODY研究の基本です。
BODY|2ドアだから格好いい
150 Handymanは2-Door Station Wagon。
4-Door Wagonの利便性とは違い、長いSide Bodyに2枚だけのDoorが入る。
そしてRear Quarterには大きな固定Glass。
ここが、MUDIMUが2-Door Wagonに惹かれるところです。
Doorが少ないことで、Wagonの長いBODY面が強く見える。
150ではExterior Decorationも比較的簡素だから、なおさらBODYそのものが前に出る。
150 Handymanは「飾りが足りないWagon」ではない。BODYがよく見えるWagonだ。
1263F vs 1063F|210 Handymanとの関係
ここはかなり重要です。
150 Handyman=1263F。
210 Handyman=1063F。
Fisher Service資料では、1263Fと1063FがRear QuarterやRear Floorなどでまとめて扱われる箇所があります。
これは両者の基本的なWagon構造に強い共通性があることを示しています。
一方、1063Fには210用のExterior Moldingが確認できます。
したがって現段階では、
基本BODYには強い共通性がある。しかしSeriesによるExteriorとTrimの仕立ては異なる。
とするのが安全です。
「150からモールを取っただけ」とも、「完全に別BODY」とも言い切らない。
HANDYMAN vs NOMAD|64DFは別の道
Nomadは1064DF。
150 Handymanは1263F。
Fisher資料ではNomadについてDoor、Rear Quarter、Headlining、Rear Floorなどに専用構成が確認できます。
つまりNomadは、
1263F → 豪華にする → 1064DF
という単純な関係ではありません。
だから150 HandymanをNomadの廉価版としてだけ見る必要もない。
別の魅力を持つ2-Door Wagonです。
REAR GATE|Wagonは後ろを見る
150 Handymanを外観だけで終わらせません。
Rear Openingは、
Upper Liftgate
+
Lower Tailgate
という構成。
Lower Tailgateはhingeとsupport cable/reelによって支えられ、Upper Liftgateにはsupport機構があります。
一方、Sedan Delivery 1271はこのWagonと同じRear Gateではありません。
Sedan Deliveryは一枚の上ヒンジ式Cargo Doorを持つ。
ここにも、
似た用途でもBODYの作り方が違う。
という1955 Chevroletの面白さがあります。
FOLD-AWAY SEAT|6人乗りからCargoへ
150 Handymanは単なる「屋根の長いSedan」ではありません。
Rear Seatは荷室を作るために折り畳める。
当時資料では、Rear SeatをFold-AwayすることでCargo Floorが約10.7インチ延長される構成が確認できます。
Wheelhouse間の幅は約49.4インチ。
Seat Cushionを動かし、Seat Backを倒すことで後部を荷物用の平面へ近づける。
つまり、
人を6人運ぶBODYが、Seatを動かすことで荷物を運ぶBODYに変わる。
これこそStation Wagonです。
CARGO FLOOR|見えない場所もBODYの一部
ここもMUDIMUでは見ます。
Factory SpecificationではRear Seatを畳んだ部分やCargo Areaに、実用性を意識したFloor Materialが使われています。
豪華さを競う場所ではない。
荷物を載せるための場所です。
だから150 Handymanの価値をInteriorの豪華さだけで測ると、この車の目的を見失います。
COLOR|150 HandymanにもTwo-Toneがあった
「廉価版だから地味な単色だけ」と考えるのも違います。
1263FにはTwo-Toneの適用例が確認できます。
たとえば資料上では、
606 — Shoreline Beige / Autumn Bronze
684 — India Ivory / Navajo Tan
など、1263Fへの適用が確認できる組み合わせがあります。
ほかにも63F系へ適用されるPaint Combinationがあります。
ただし、Two-Toneの塗り分け位置まで色番号だけから決めつけない。
COLORについてはNo.20・21でPaint Chartと当時資料を突き合わせます。
TRIM|502と524
1955年Trim資料では1263Fに、
502 — Straw-Brown Imitation Leather
524 — Dark Green / Light Green Imitation Leather
が確認できます。
実在するCowl Tag例でも、
STYLE 55-1263F
TRIM 524
PAINT 599
という組み合わせが確認されています。
ここまで来ると「緑の1955 Handyman」というだけではなく、
BODY 1263F × TRIM 524 × PAINT 599
として一台を見ることができます。
これがMUDIMUで最終的にやりたいことです。
PRICE|150でもWagonは高かった
確認している当時価格資料では、
150 2-Door SedanのI6が約**$1,685**。
150 Handymanは約**$2,030**。
差は約**$345**。
これは面白い。
150は廉価Seriesです。
しかしWagon BODYを選べば、普通の2-Door Sedanよりかなり高くなる。
安いSeriesの、高いBODY。
これだけでも「150=安物」という単純な理解では足りないことが分かります。
PRODUCTION|数字が一致しない
150 Handymanの生産台数については、現在確認している資料に、
17,936
と
18,496
という異なる数字があります。
MUDIMUでは、ここでどちらかを都合よく採用しません。
資料が何を集計しているのかを追い、GM/Fisherの一次資料で確定できるところまで調査を続けます。
したがって現段階では、
Production:17,936 / 18,496 — source conflict
として残します。
これも図鑑として重要な情報です。
COWL TAG|現存車を調べる入口
将来、実際の1955 Handymanを購入・販売・調査するときに重要になるのがCowl Tagです。
たとえば、
STYLE 55-1263F
とあれば、150 Handyman BODYを確認する大きな手掛かりになる。
さらに、
TRIM
PAINT
を読めば、その車が当時どんな組み合わせで作られたのかを追える可能性があります。
ここがMUDIMUの図鑑とAUTO LABOの実車研究が将来的につながる場所でもあります。
WHY 150 HANDYMAN|なぜこの一台を追うのか
Nomadの方が有名です。
高価です。
コレクター人気も高い。
それは否定する必要がありません。
でも、Chevroletの面白さは有名車だけにはない。
長いRoof。
大きなQuarter Glass。
2枚のDoor。
荷物を積むためのRear Gate。
Fold-Away Seat。
そして150らしい簡素な仕立て。
それらが組み合わさることで、1263Fという一台が成立している。
一番安いWagonだったから価値が低いのではない。
一番飾られていないからこそ、WagonのBODYが見える。
MUDIMUは、こういうChevroletを残したい。
1955 Chevrolet 150 Handyman
Nomadではない。だからいい。
MUDIMU Research Note
Model 1529 / Fisher Style 55-1263F
現時点でProduction Numberには資料間の食い違いがあります。また1263Fと1063Fの共通BODY部品については、Fisher資料で強い共通性を確認できるものの、完全に同一のbody shellとは現段階で断定しません。
COLORについてもPaint Combinationの適用と実際のTwo-Tone境界を分けて調査します。
確認できたこと、推定できること、まだ分からないことを混ぜない。
これを第8回でも徹底します。

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