1956 Chevrolet No.08
1956 ChevroletのWagonを調べていると、どうしてもNomadが目立ちます。
しかしMUDIMUが残したいのは、有名なChevroletだけではありません。
今回の一台は、
1956 Chevrolet One-Fifty Handyman。
Model 1529。
Fisher Style 1263F。
2-Door / 6-Passenger Station Wagonです。
1956年のOne-Fifty Seriesには、4-Door Sedan、2-Door Sedan、Utility Sedan、そしてHandymanが用意されていました。Period Sales Brochureの構成でも、この4 BODYがOne-Fiftyとして確認できます。
Nomadがなくても、1956 Chevroletには格好いい2-Door Wagonがあった。しかも、それはSpecialty Carではなく実用Seriesの一台だった。
ここが150 Handymanの面白さです。
IDENTIFICATION|1529 / 1263F
まず、この車のIdentityを固定します。
| 項目 | 1956 Chevrolet 150 Handyman |
|---|---|
| Series | One-Fifty / 1500 |
| Model | 1529 |
| Fisher Style | 1263F |
| BODY | Station Wagon |
| Doors | 2 |
| Seating | 6-Passenger |
| Wheelbase | 115 in |
| Model Year | 1956 |
1956 Model Identification資料では、
1529-1263F — 2 Door Handyman Wagon
として整理されています。
Production資料でも、
150 — 2 Door Station Wagon (Handyman) / 6 passengers / 1263F / 1529
と一致します。
ここはかなり確度が高い部分です。
1529と1263F。
150 Handymanを調べるときの基本番号になります。
ONE-FIFTY|150 Series唯一のWagon
1956 One-FiftyのPassenger BODYは、
2-Door Sedan。
4-Door Sedan。
Utility Sedan。
そして、
Handyman 2-Door Wagon。
この4種類です。
Hardtopはない。
Convertibleもない。
4-Door Wagonもない。
その中で唯一のStation WagonがHandymanです。
つまり150 Handymanは、
「Bel Air Wagonの廉価版」
という見方だけでは足りません。
One-Fifty Seriesの中で、
Wagonという役割を一台で担当していたBODY
なのです。
TWO DOORS|実用Wagonなのに2枚ドア
ここが今見ると最高に面白い。
2-Doorです。
現代なら、実用Station Wagonを作るなら4-Doorにするのが自然でしょう。
ところが1956 One-Fiftyでは、唯一のWagonが2-Doorでした。
しかも6-Passenger。
つまり、
後席を持つ実用WagonなのにRear Doorがない。
Nomadなら分かります。
Stylingを重視したSpecialty Wagonだからです。
でも150 Handymanは違う。
Chevrolet Lineupの実用側にいたOne-Fiftyです。
2-Door Wagonは1950年代Chevroletでは「格好いいから作った特殊車」だけではなかった。普通の実用車として成立していた。
150 Handymanは、その事実を非常によく示しています。
1263F|この番号を覚えておきたい
MUDIMUでは車名だけではなくFisher Styleを追います。
150 Handymanは、
1263F。
次の記事で扱う210 Handymanは、
1063F。
非常によく似ています。
しかし同じ番号ではありません。
150 Handyman
1529
1263F
210 Handyman
2129
1063F
どちらも2-Door。
どちらも6-Passenger。
どちらもHandyman。
それでもFactory Identificationでは区別されています。
これを、
「どっちもHandymanだから同じ」
で済ませないのがMUDIMUです。
150 vs 210 HANDYMAN|同じ名前の二台
1956年にはHandymanが二台ありました。
One-Fifty Handyman。
Two-Ten Handyman。
Period Sales Brochureにも、両方が別々に掲載されています。
ここは実車Identificationでも重要です。
現在の販売広告で、
1956 Chevrolet Handyman
と書かれていたとします。
それだけでは、
まだ車種を完全に特定できていません。
150なのか。
210なのか。
確認する必要があります。
BODY|Sedanを長くしただけではない
Station Wagonを見るときに注意したいのが、
Frontだけを見ないこと。
1956 ChevroletはFront Stylingの印象が強い車です。
しかしWagonのIdentityは後ろ半分にあります。
Roof。
Rear Side Glass。
Quarter。
Cargo Area。
Tailgate。
Rear Body Structure。
特に2-Door Wagonでは、長いSide PanelとRear Side GlassがBODY Characterを大きく作ります。
【画像予定:1956 150 Handyman Side View】
MUDIMUで150 Handymanの画像を一枚だけ残すなら、Front 3/4よりもまず完全なSide Viewを残したいところです。
SIDE VIEW|2-Door Wagonらしさを見る
横から見ると150 Handymanの面白さがよく分かります。
Front Door。
その後ろにRear Doorはありません。
しかしRoofは後方まで伸びる。
Rear Side Glassが続く。
その先にCargo Areaがある。
この、
「2-Door Passenger Carのような前半」と「Station Wagonの長い後半」
の組み合わせが独特です。
現代ではほとんど見なくなったBODY Proportionです。
【画像予定:150 HandymanのSide Glass・Door・Rear Quarter拡大】
HANDYMAN vs NOMAD|同じ2-Door Wagonではない
ここでNomadと比較します。
150 Handyman
1529
1263F
2-Door
6-Passenger
One-Fifty Series
Bel Air Nomad
2429
1064DF系
2-Door
6-Passenger
Bel Air Series
条件だけなら似ています。
でもBODY Characterはまったく違います。
Nomadは独特のRoofとB-Pillar、Rear Quarter Stylingを持つSpecialty Wagon。
150 Handymanは、よりConventionalなStation Wagonの形を持つ実用BODYです。
Nomadは「Wagonを格好よく見せた車」。Handymanは「普通のWagonがそのまま格好いい車」。
MUDIMUとしては、この違いが非常に面白い。
SIX WAGONS|6台の中でどこにいたのか
1956 Chevroletには6種類のStation Wagonがありました。
150 Handyman
210 Handyman
210 Townsman
210 Beauville
Bel Air Beauville
Bel Air Nomad
Period advertisingでも「6 Chevrolet station wagons」として展開されていたことが確認できます。広告ではOne-Fifty Handymanを2-Door / 6-Passengerとして紹介しています。
その中で150 Handymanは、
最も実用Series側にいた2-Door Wagon。
この位置づけです。
そして上には210 Handyman。
さらにStyling方向へ進めばNomad。
1956 Chevroletは一種類のWagonを装備違いで売ったのではなく、用途とSeriesを組み合わせてWagon Familyを作っていました。
ENGINE|150 HandymanだからSixだけ、ではない
One-Fiftyというと、
「一番安いSeriesだからSix Cylinder」
と思いたくなります。
しかし、それも危険です。
Period Wagon advertisementでは、1956 Chevrolet Station WagonについてBlue-Flame 140 SixまたはV8の選択肢を訴求しています。
したがって、
150 Handyman=必ず235 Six
とは判断できません。
BODYからEngineを決めつけない。
これはMUDIMUのIdentificationルールです。
EngineについてはNo.41以降で、1956 Passenger CarのPowertrain体系として改めて整理します。
115-INCH WHEELBASE|Passenger Chevroletの中にいるWagon
1956 One-Fifty Handymanは、Passenger Chevroletの115-inch wheelbase上に構成されています。Secondary specification sourcesでも197.5-inch前後のoverall length、115-inch wheelbaseとして整理されています。
ここで大切なのは数字そのものより、
Truckではない
ということです。
Panel TruckやSuburbanのようなCommercial系BODYとは別。
Passenger Car Seriesの中に存在するStation Wagonです。
後でTruck編へ入ったとき、この違いは重要になります。
PRODUCTION|13,487台
Old Car Manual ProjectのProduction Tableでは、
1956 One-Fifty Handymanについて、
13,487台
と記録されています。
同資料では210 Handymanが22,038台。
Nomadが7,886台。
つまりこの資料系統に従えば、
150 HandymanはNomadより多く、
210 Handymanより少ない。
ただしMUDIMUでは、この13,487という数字を現段階で「絶対値」とはしません。
Production NumberはNo.32で別資料と照合します。
現段階では、
13,487台 — 有力資料値
として扱います。
RARITY|生産台数と現在の希少性は別
ここも注意したいところです。
13,487台作られたから、現在何台残っている。
これは単純には計算できません。
150 Handymanは実用車でした。
日常で使われた。
仕事に使われた可能性もある。
CustomのBaseになった個体もある。
廃車された個体も当然あるでしょう。
したがって、
当時のProduction Number
と、
現在のSurvival Rate
は別問題です。
MUDIMUでは根拠のない「現存○台」のような数字は使いません。
ORIGINALITY|150 Handymanを見るときの注意
現在の150 Handymanを見る場合、かなり慎重にOriginalityを判断する必要があります。
実際、Auctionに登場する1956 150 Handymanにも350 cubic-inch V8や4-Speedへ変更されたCustom個体があります。Auction側自身も車両情報はConsignor提供で保証しないと明記しています。
だから現在の写真を見て、
「1956 150 HandymanはこのEngineだった」
「このWheelがOriginalだった」
「このInteriorだった」
とは言えません。
現存車は、
BODYを知る資料
としては有効でも、
Factory Specificationを確定する資料
とは限りません。
TRIM|150らしさは後で細かく確認する
150は210やBel AirよりSimpleなExterior / Interior Treatmentを持つSeriesです。
ただし、
「Chromeが少ない」
だけで150 Handymanを判断するのは危険です。
後年にMoldingが追加されている可能性もあります。
逆にOriginal Trimが欠落している場合もあります。
したがってMUDIMUでは、
Model 1529
Fisher Style 1263F
をまずIdentityの中心に置きます。
そのうえでNo.30 Interior & Trimにおいて、150 Handymanへ適用されたFactory Trimを照合します。
COLOR|現存車の色をOriginal Colorと思わない
150 Handymanには現在、さまざまなColorの個体が存在します。
しかし現存車のPaintを見て、
「この色が1956 Factory Colorだった」
とは判断しません。
1956 ChevroletのColorは、
Official Color Name。
Paint Code。
Solid / Two-Tone。
BODY適用。
Interiorとの組み合わせ。
まで確認する必要があります。
150 HandymanについてもNo.28 Factory Colors、No.29 Two-Tone Guideで改めて追います。
BODYが分かった。次は色。
この順番です。
PERIOD POSITION|広告の主役ではなくても、Catalogにはいる
1956 Chevroletの華やかな広告を見ると、
Sport Sedan。
Bel Air。
Nomad。
V8。
Two-Tone。
そうした新しさが目立ちます。
でもFull-Line Brochureを開けば、
One-Fifty Handymanもちゃんといる。
ここがMUDIMUにとって重要です。
有名なBODYだけを抜き出すと、その時代のChevrolet Lineupは正確に見えません。
カタログの隅にいるChevyまで拾う。
150 Handymanは、まさにその代表です。
WHY MUDIMU CARES|こういうChevyを残したい
1956 Bel Air Sport Coupe。
Nomad。
Convertible。
もちろん素晴らしい。
でも、それだけならすでに大量の資料があります。
MUDIMUが面白いのは、
「1956年にはOne-Fiftyにも2-Door Wagonがあった」
というところまで降りることです。
Model 1529。
Style 1263F。
6-Passenger。
Handyman。
ここまで分かると、
「1956 Chevrolet Wagon」
という言葉の解像度が一段上がります。
MUDIMU VIEW|Nomadより欲しくなる人もいる
Collector Valueだけで選べばNomadかもしれません。
知名度でもNomad。
華やかさでもNomad。
でも車は、それだけではありません。
150 Handymanには、
一番SimpleなChevroletなのに、BODYだけ見ると猛烈に面白い
という魅力があります。
実用車。
2-Door。
Wagon。
1956 Chevrolet。
この組み合わせ。
「高級だから欲しい」のではない。「こんなBODYを本当に売っていたのか」と思わせるから欲しくなる。
これはMUDIMUがかなり好きなChevroletです。
IDENTIFICATION CHECK|実車を見るならここから
1956 Chevrolet 150 Handymanらしい車を見つけたら、まず確認したいのはこの順番です。
1956年型か。
↓
One-Fifty Seriesか。
↓
Model 1529か。
↓
Fisher Style 1263Fか。
↓
2-Door / 6-Passenger Wagon BODYとして整合するか。
↓
TrimはFactory Specificationと一致するか。
↓
Paintは1956 Factory Colorか。
↓
Engine / TransmissionはOriginal Specificationと整合するか。
この順に見ると、
「1956 Handymanらしい」
から、
「この個体は何なのか」
へ進めます。
AUTO LABOで実車を扱うときにも使える調べ方です。
CONCLUSION|1263Fという忘れたくないBODY
1956 Chevrolet One-Fifty Handyman。
Model 1529。
Fisher Style 1263F。
2-Door。
6-Passenger。
Station Wagon。
1956 One-Fifty Series唯一のWagonでした。Period showroom / sales materialでもOne-Fifty Handymanが独立Modelとして確認できます。
華やかなHardtopではない。
Convertibleでもない。
Nomadでもない。
実用SeriesのStation Wagonです。
それなのに、
2-Door。
ここにこの車の面白さがあります。
1956 Chevroletの2-Door Wagon文化はNomadだけではない。その一番実用側に、1263FというHandymanがいた。
MUDIMUでは、このBODYをNomadの脇役にはしません。
一台のChevroletとして残します。
MUDIMU Research Note
A相当/強く確認できる部分
1956 One-FiftyにHandymanが存在し、2-Door / 6-Passenger Wagonであること。Model 1529、Fisher Style 1263FというIdentificationは複数の資料系統で一致しています。
C/再照合予定
Production 13,487台はOld Car Manual Project掲載値として採用しますが、No.32で別資料と照合します。
後の記事へ保留
Factory Color、Two-Tone配置、Interior Trim、Engine Combinationの詳細は、それぞれColor / Trim / Powertrain編でPrimary資料と接続して確定します。
次は兄弟車です。
09|1956 Chevrolet 210 Handyman — 1063F
ここで1263Fと1063Fは本当に何が違うのかを、さらに深く追えます。

コメント