第32回|1955 Chevrolet Nomad vs Cameo Carrier
1955 Chevrolet Nomad vs Cameo Carrier|実用BODYをデザインした1955年
1955 Chevroletには、まったく用途の違う二台の特別なChevyがありました。
一台は、
Bel Air Nomad。
もう一台は、
Cameo Carrier。
Nomadは2-Door Station Wagon。
Cameo Carrierは1/2-ton Pickup。
Passenger CarとTruckですから、BODY構造もChassisも用途も違います。
それでも1955 ChevroletをBODYから調べていくと、この二台には非常に面白い共通点が見えてきます。
それは、
実用BODYそのものを、欲しくなるデザインにしたこと。
NomadはWagonでそれをやった。
Cameo CarrierはPickupでそれをやった。
1955年という同じModel Yearに登場した二台を並べると、Bel AirやV8だけでは見えてこない、もう一つの1955 Chevroletが見えてきます。
TWO CHEVYS|まず二台の正体を整理する
最初にNomadとCameo Carrierを並べてみます。
| 項目 | Nomad | Cameo Carrier |
|---|---|---|
| Model Year | 1955 | 1955 |
| 分類 | Passenger | Truck |
| Series | Bel Air 2400 | 2nd Series / Task Force |
| Model | 2429 | 3124 |
| Fisher Style | 55-1064DF | Passengerとは別体系 |
| BODY | 2-Door Station Wagon | 1/2-ton Pickup |
| 主用途 | 人+荷物 | 荷物 |
| 特徴 | 専用性の高いWagon BODY | Stylingを強く意識したPickup |
まず重要なのは、二台を兄弟車のように扱わないことです。
NomadのPickup版がCameo Carrierなのではありません。
Cameo CarrierのWagon版がNomadなのでもありません。
MUDIMUが比較するのは、二台のメカニズムではなく、
Chevroletが実用BODYをどう商品化したのか
という部分です。
NOMAD|5種類のWagonの中に戻して見る
1955 Chevrolet Nomadは、Bel Air Seriesに設定された2-Door Station Wagonです。
Modelは2429。
Fisher Styleは55-1064DF。
6-passengerのWagonです。
Nomadだけを見ていると、1955 Chevroletを代表する特別なWagonに見えます。
それ自体は間違いではありません。
しかしMUDIMUでは、まずNomadを1955年のWagon体系へ戻します。
1955 Chevroletには主要なWagonが5種類ありました。
| Series | Model | Fisher Style | Doors | Name |
|---|---|---|---|---|
| 150 | 1529 | 1263F | 2 | Handyman |
| 210 | 2129 | 1063F | 2 | Handyman |
| 210 | 2109 | 1062F | 4 | Townsman |
| Bel Air | 2409 | 1062DF | 4 | Beauville |
| Bel Air | 2429 | 1064DF | 2 | Nomad |
こうして見ると、1955 ChevroletはNomadだけをWagonとして用意していたわけではありません。
廉価な150 HandymanからBel Air Nomadまで、用途とSeriesによってWagonを細かく作り分けていました。
その頂点にNomadがいます。
HANDYMAN vs NOMAD|同じ2-Door Wagonではない
ここで重要になるのがHandymanです。
150 Handymanは、
1263F。
210 Handymanは、
1063F。
Nomadは、
1064DF。
すべて2-Door Wagonです。
しかしNomadは63F Familyではありません。
Fisher Body関係資料を追うと、1064DFについて、
Door
Rear Quarter
Headlining
Rear Floor
Seat / Interior Trim
Exterior Molding
などに専用性の強い記載が確認できます。
つまり、
NomadはHandymanにBel Airの豪華なTrimを付けただけのWagonではない。
同じ2-Door Wagonでも、BODYから分けて考える必要があります。
これはMUDIMUでNomadを見るときの重要なポイントです。
1064DF|Wagonの形そのものを商品にした
Nomadの特別さはChromeやInteriorだけではありません。
通常の2-Door Wagonとは異なるRoofやRear Quarter周辺の構成を持ち、WagonそのもののSilhouetteに強い個性があります。
ここが面白い。
Chevroletには、すでに150 Handymanと210 Handymanがありました。
つまり、
「2-Door Wagonが必要だった」
だけならNomadを作る必要はありません。
人を乗せる。
荷物を積む。
後席を使う。
Cargo Spaceを使う。
そうした実用性ならHandymanでも成立します。
それでもChevroletは別の1064DFを作りました。
NomadはWagonというBODYそのものに、実用性とは別の「欲しさ」を与えたChevyだった。
ここにNomadの意味があります。
CAMEO CARRIER|もう一台はTruck側にいた
そして同じ1955年、Truck側にも面白いBODYが登場します。
Chevrolet Cameo Carrier。
Model 3124です。
1955 Chevrolet Truckは特殊なModel Yearでした。
従来世代の流れを残す1st Seriesがあり、その後、新世代となる2nd Series / Task Forceが登場します。
Cameo Carrierは、この2nd Series側に設定された特別なPickupです。
普通のPickupとして荷物を運べる。
しかし外観は、通常のPickupとは明らかに違う方向を向いていました。
3104 vs 3124|普通のPickupがすでにあった
ここでもNomadと似た構図が見えてきます。
2nd Seriesには基本的な1/2-ton Pickupとして、
3104
があります。
そしてCameo Carrierは、
3124。
荷物を運ぶだけなら3104があります。
それでもChevroletは3124を作りました。
通常のPickupでは、Cargo Boxと張り出したRear Fenderの関係が外観にはっきり現れます。
Cameo Carrierでは、Pickup Box周辺へ特殊なStyled Outer Componentsを組み合わせることで、Side Viewをより連続的に見せています。
ChevroletのEngineering資料でも、Cameo CarrierはHalf-ton PickupとしてのUtilityとIndividual Stylingを組み合わせたModelとして扱われています。
つまり、
Truckであることを隠したのではない。Truckのまま格好よくした。
これが3124の面白さです。
BODY CONSTRUCTION|Cameoは全部Fiberglassではない
Cameo Carrierについては、BODY構造にも注意が必要です。
特殊な外観を作るため、Reinforced Plastic系のBody Componentsが使われています。
しかし、
「Cameo CarrierはFiberglass製Pickupだった」
と単純化するのは正確ではありません。
基本となるPickup構造があり、その外側に特殊なStyled Componentsを組み合わせています。
ここはCorvetteとも違います。
見た目の印象だけでBODY構造まで同じものとして扱わない。
MUDIMUでは、こういう違いも残していきます。
NOT FLEETSIDE|1955 CameoをFleetsideと呼ばない
Cameo Carrierを横から見ると、後年のFleetsideを思い浮かべる人もいるでしょう。
しかし1955 Cameo CarrierそのものをFleetsideと呼ぶのは避けます。
Chevroletの通常Pickup LineにFleetsideが登場するのは1958年です。
Cameo Carrierは、それ以前に特殊なOuter Body TreatmentによってSmoothなSide Appearanceを実現したPickupです。
したがって、
Cameo CarrierはFleetsideではない。
後年の名称を1955年へ遡って当てはめない。
これもBODY図鑑では大切です。
UTILITY|二台とも実用性を捨てていない
NomadとCameo Carrierを比較する最大の理由がここです。
NomadはWagonです。
人を乗せられる。
荷物を積める。
Rear SeatとCargo Areaを持っています。
Cameo CarrierはPickupです。
Pickup Boxを持ち、荷物を運べます。
つまり二台とも、Stylingを成立させるために本来のUtilityを捨てた車ではありません。
1955 Corvetteとは、そこが違います。
Corvetteは最初から2-seat Sports Carという別の目的を持ったBODYです。
NomadとCameo Carrierは、
実用BODYのまま特別なChevyになった。
ここに二台を並べる意味があります。
UTILITY + STYLE|「実用か、格好か」ではなかった
実用車を考えると、
使いやすさ。
積載性。
耐久性。
価格。
といったものが優先されます。
一方、Stylingを重視する車では、
Silhouette。
Proportion。
Chrome。
Color。
Interior。
といったものが商品価値になります。
普通なら別々に考えたくなります。
しかしNomadとCameo Carrierは違います。
NomadはWagonとして使える。
Cameo CarrierはPickupとして使える。
その上で、
形そのものを欲しくさせた。
だからこの二台は、
UTILITY or STYLE
ではなく、
UTILITY + STYLE
として見ると面白いのです。
PRICE|NomadにはBODYの価格が付いていた
Nomadの特殊性はOriginal Priceにも表れています。
MUDIMUで整理しているPeriod-based Price Dataでは、Wagonの価格は次のようになります。
| BODY | Price |
|---|---|
| 150 Handyman | $2,030 |
| 210 Handyman | $2,079 |
| Townsman | $2,127 |
| Beauville | $2,262 |
| Nomad | $2,472 |
この表の6-cylinder側表記について、Nomadへの実際の適用は資料間で扱いが一致していないため、Primary Source確認を継続しています。
ただし価格体系を見る資料としては非常に興味深い。
210 HandymanからNomadになると、
+$393。
Beauvilleからでも、
+$210。
同じWagonだから似た価格だったわけではありません。
BODYとStylingそのものに、大きな商品価値が付けられていたことが分かります。
PRODUCTION|Nomadの数字にも注意する
1955 NomadのProduction Numberには、資料によって違いがあります。
MUDIMUで現在保持している主要数字は、
8,386台
と、
8,530台。
144台の差があります。
このため、Primary Sourceによる集計定義が確認できるまでは、一方だけを「正解」として消しません。
また1955 Nomadについて6,103台という数字が混ざることがありますが、これは1957 NomadのProduction Numberとして知られる数字です。
1955年の数字としては除外します。
「何台だったか」だけではなく、
その数字が何年の、何を数えた数字なのか。
そこまで確認するのがMUDIMUの方針です。
1955|PassengerもTruckも変わった
なぜNomadとCameo Carrierが1955年に現れたのでしょうか。
1955 Chevrolet Passenger Carは大きく変わりました。
150。
210。
Bel Air。
Sport Coupe。
Convertible。
Wagon。
そしてNomad。
一方、Truckでも1st Seriesから2nd Series / Task Forceへの大きな世代交代がありました。
つまり1955年は、
Passenger Chevroletだけが新しくなった年ではありません。
PassengerとTruckの両側で、ChevroletのBODY Designが大きく動いた年です。
そのPassenger側にNomad。
Truck側にCameo Carrier。
この二台が存在します。
NOMAD|Handymanがあるのに、なぜ作ったのか
ここで、もう一度Nomadへ戻ります。
1955年には150 Handymanと210 Handymanがあります。
しかも両方とも2-Door Wagonです。
実用的な2-Door Wagonは、すでに存在していました。
それでもNomadを作った。
ここにNomadの本質があります。
Chevroletは、
「Wagonだから実用性だけで選ばれる」
とは考えなかった。
Wagonでも、
形で選ばれる。
色で選ばれる。
Interiorで選ばれる。
所有したくなる。
そういう商品が成立すると考えたからこそ、1064DFという特殊なBODYが存在したと見ることができます。
CAMEO|3104があるのに、なぜ作ったのか
Cameo Carrierも同じ問いを立てられます。
荷物を運ぶ1/2-ton Pickupなら3104があります。
仕事をするだけなら、それで成立します。
それでも3124 Cameo Carrierを作った。
Pickup Box周辺までStylingする。
Side Viewを整える。
Truckを仕事道具としてだけではなく、所有すること自体に魅力を感じる商品へ近づける。
ここにも、
実用BODYそのものを商品化する
という考え方が見えてきます。
NOMAD vs CAMEO|似ていないからこそ比較する
二台をもう一度並べます。
Nomadは2-Door Wagon。
Cameo CarrierはPickup。
NomadはFisher Style 1064DFという専用性の高いWagon BODY。
Cameo CarrierはPickupを基本として特殊なOuter Body Treatmentを与えた3124。
構造は違います。
用途も違います。
Buyerも違います。
だからこそ面白い。
まったく違う二つの実用BODYに、同じ1955年のChevroletがStyling Valueを与えた。
MUDIMUが見たいのはここです。
MUDIMU VIEW|実用BODYを脇役にしない
1955 Chevroletと聞けば、Bel Air Sport Coupeを思い浮かべる人は多いでしょう。
Convertibleもある。
Corvetteもある。
もちろん、それらは重要です。
しかしBODYを全部並べると、Chevroletの面白さはもっと広がります。
Handyman。
Townsman。
Beauville。
Utility Sedan。
Sedan Delivery。
Panel。
Suburban。
Pickup。
そしてNomadとCameo Carrier。
Chevroletは、人と荷物を運ぶBODYにも本気だった。
MUDIMUでは、こうした実用BODYを有名Modelの脇役として扱いません。
むしろ、ここにChevroletというメーカーの面白さがあると考えます。
CONCLUSION|荷物を運ぶBODYだって、格好よくていい
1955 Chevrolet Nomad。
Model 2429 / Fisher Style 55-1064DF。
1955 Chevrolet Cameo Carrier。
Model 3124。
二台は兄弟車ではありません。
同じBODYでもありません。
PassengerとTruckという別の世界のChevyです。
しかし、どちらにもすでに実用的な代替車がありました。
NomadにはHandymanがあった。
Cameo Carrierには通常のPickupがあった。
それでもChevroletは、この二台を作りました。
だからMUDIMUでは、1955年の最後にこの二台を並べます。
必要だから作るBODYから、欲しいから選ぶBODYへ。
NomadはWagonでそれを見せた。
Cameo CarrierはPickupでそれを見せた。
そして二台を並べて初めて、1955 Chevroletのもう一つの姿が見えてきます。
荷物を運ぶBODYだって、格好よくていい。
1955年は、実用BODYそのものをデザインした年だった。
MUDIMU Research Note
1955 Chevrolet NomadはModel 2429 / Fisher Style 55-1064DFとして整理します。150/210 Handymanの63F系とは分けて扱い、Fisher Body資料で確認できるDoor、Rear Quarter、Headlining、Rear Floor、Interior Trim、Exterior Moldingなどの差をBODY研究の根拠とします。
1955 Chevrolet Cameo Carrierは2nd Series / Task ForceのModel 3124として扱います。Reinforced Plastic系のStyled Componentsが使用されていますが、車体全体を単純に「Fiberglass Body」とは表現しません。また、後年の通常Fleetsideとも区別します。
なお、NomadとCameo Carrierを「実用BODYをデザインした二台」として比較するのは、両車が同一の開発Projectだったという意味ではありません。
PassengerとTruckを横断して1955 ChevroletのBODY思想を読む、MUDIMUとしての比較・分析です。

コメント