1955 Chevrolet Engine by BODY|150・210・Bel Airのエンジン設定を徹底研究

第36回|1955 Chevrolet Engine by BODY

目次

どのBODYに、どのEngineを積んで買えたのか

1955 Chevrolet Engine by BODY|150・210・Bel Airのエンジン設定を徹底研究

1955 Chevrolet Corvetteは、わずか700台しか生産されなかった初期Corvetteです。

BODYから見れば、1953年に登場した初期Corvetteの最終年。

しかしEngineから見ると、まったく違う意味を持っています。

1955年は、

235 cu in Inline-Six

から

265 cu in V8

へCorvetteが大きく動いた年だからです。

しかも重要なのは、単純に「SixがV8へ置き換わった」わけではないこと。

1955年にはSixとV8のCorvetteが両方存在しました。

BODYは同じModel 2934。

しかしPowertrainは大きく違う。

1955 Corvetteは、まさに古いCorvetteと新しいCorvetteが一台のModel Yearで交差した車です。


1955 CorvetteのEngine Map

まず全体を整理します。

EngineConfigurationDisplacementRated PowerCarburetion
Blue-Flame SixInline-6235 cu in150 hp3 × 1-barrel
Chevrolet V8OHV V8265 cu in195 hp4-barrel

ここで最初に注意したいのが、

Passenger Chevroletの235/265と、数字だけで同一視しない

ことです。

150、210、Bel AirのEngine Mapを、そのままCorvetteへコピーしてはいけません。


235 Blue-Flame Six

Passenger 235とは違う150 hp仕様

1955 Passenger Chevroletの235 Sixでは、これまで、

123 hp — Gearshift系

136 hp — Powerglide系

を確認してきました。

しかしCorvetteは違います。

1955 Corvetteの235 Sixは150 hp仕様

同じ235系Inline-Sixでも、CorvetteというApplicationに合わせた高出力仕様です。

したがってMUDIMUでは、

235 Passenger Six

235 Corvette Six

を別Specificationとして記録します。

3基の1-barrel carburetor

Corvette Sixの非常に特徴的な部分がCarburetionです。

一般Passenger 235の単一1-barrelとは違い、Corvetteでは3基の1-barrel carburetorを使用します。

この仕様は1953年からの初期Corvetteを象徴するMechanical Featureの一つでした。

つまり、

235という排気量だけ見ても、どの235なのかは分からない。

No.34で作ったMUDIMUのEngine研究ルールが、Corvetteを見ると非常によく分かります。


1953–1955 CorvetteとBlue-Flame Six

Corvetteは最初からV8ではなかった

現在のCorvetteを見ると、V8は車そのもののIdentityに近い存在です。

しかし最初のCorvetteは違いました。

1953年のCorvetteはBlue-Flame Six。

1954年もSix。

そして1955年になって、初めて新しいChevrolet V8が加わります。

ここを飛ばしてしまうと、

Corvette=最初からV8 Sports Car

という間違った歴史になります。

1955年はSix時代の最後でもある

1955年はV8 Corvetteが始まった年であると同時に、

Blue-Flame Six Corvetteの最後の年

でもあります。

だから1955 Corvetteは、Engine史では非常に面白い位置にいます。


265 V8がCorvetteに入った

Chevroletの新型V8

1955 Passenger Chevroletとともに登場した新しい265 cu in OHV V8。

基本寸法は、

Bore:3.75 in

Stroke:3.00 in

です。

No.35で見たようにPassenger Chevroletでは、

162 hp。

180 hp Power Pack。

などの仕様が存在します。

しかしCorvetteでは、さらに別のSpecificationが与えられました。

Corvette 265は195 hp

1955 Corvetteの265 V8は、

195 hp

仕様として整理されます。

したがって1955年だけを見ても、

Application265 V8
Passenger Standard162 hp
Passenger Power Pack180 hp
Corvette195 hp

となります。

同じ265でも、Applicationによって出力が違います。


Corvette 265は何が違ったのか

4-barrel carburetor

Corvette V8では4-barrel carburetorが重要になります。

Passengerの標準162 hp V8に使われる2-barrel仕様とは異なるPerformance-oriented specificationです。

Dual Exhaust

Exhaust systemもCorvetteの195 hp specificationを理解する重要な要素です。

つまり195 hpという数字は、

「同じ265をCorvetteに載せたら自然に195 hpになった」

わけではありません。

CarburetionやExhaustを含めたCorvette用Powertrain specificationとして考える必要があります。


SixとV8でTransmissionまで変わった

ここが1955 Corvetteを面白くします。

Engineだけが変わったのではありません。

235 Six × Powerglide

初期CorvetteのBlue-Flame SixはPowerglideとの組み合わせが基本です。

1955年に残ったSix Corvetteも、この初期CorvetteのPowertrain構成を引き継ぎます。

つまり、

235 Six + Powerglide

です。

265 V8 × 3-Speed Manual

一方、1955年のV8 Corvetteには3-Speed Manual Transmissionが登場します。

これは非常に大きな変化です。

Engineが、

Six → V8。

Transmissionも、

Powerglide → Manual。

Corvetteの性格そのものが変わり始めています。


1955 Corvette Powertrain Map

これをMUDIMU式に整理すると非常に分かりやすい。

BODYEnginePowerTransmission
Model 2934235 Six150 hpPowerglide
Model 2934265 V8195 hp3-Speed Manual

同じModel Year。

同じCorvette。

同じModel 2934。

しかしPowertrainは大きく違います。

これが1955 Corvetteです。


BODYは旧世代、ENGINEは新世代

BODY研究から見ると、さらに面白くなります。

1955 Corvetteは1953〜55年型初期BODYの最終年です。

翌1956年にはBODY Stylingが大きく変わります。

ところがEngineは一足先に1955年から新しい265 V8へ進んだ。

つまり1955 Corvetteは、

1953年から続く初期BODYの中へ、次世代Chevrolet V8を入れた一年

と見ることができます。

MUDIMUがBODYとENGINEを両方調べるようになったことで、ここが非常によく見えるようになりました。


700台しか作られなかった1955 Corvette

1955 Corvetteの総生産台数は、

700台

です。

これはGM Heritage資料で確認できる、MUDIMUでも強い数字として扱っているProduction Numberです。

1954年のCorvetteは3,640台。

それに対して1955年は700台。

非常に少ない。

しかしこの700台の中で、Corvetteにとって極めて重要なV8化が始まりました。


700台をSix/V8へどう分けるか

ここは慎重に扱います。

後年のCorvette資料では、1955年の700台についてV8搭載車が圧倒的多数で、Six搭載車はごく少数だったとする数字が広く流通しています。

特に「Sixは6台」という数字を目にすることがあります。

しかしMUDIMUでは、

700台=A

と、

Six/V8内訳=同じ確度

にはしません。

GM一次資料でEngine別Productionを確定できるまでは、

700台は確定度が高い

Six/V8内訳は別途Source確認

として残します。

これはNo.24 Production Numbersと同じ考え方です。


「6台のSix」をそのまま確定しない

ここはMUDIMUらしくやります。

Classic Corvetteでは、

1955 Six = 6 cars

という数字が非常に有名です。

しかし有名な数字とFactory-confirmed numberは同じではありません。

今後、

Chevrolet production records。

Corvette historical records。

Period documents。

NCRS系資料。

などを照合し、

その6台という数字が何を根拠にしているのか

まで追います。

数字をコピーするだけでは図鑑になりません。


1955 Corvetteの価格

No.23 Original Pricesでは、

Six

$2,774

V8

$2,909

という価格を整理しました。

差は、

$135

です。

Passenger ChevroletではI6→V8が多くの場合+$99でした。

Corvetteでは同じ構造ではありません。

これもPassengerとCorvetteを分けて考える理由になります。


BODYは同じでもPowertrainで価格が変わる

1955 Corvetteの場合、

Model 2934というBODYは同じ。

しかし、

235 Six + Powerglide。

265 V8 + Manual。

で価格が違います。

これはMUDIMUがここ数本で追っている、

BODY × ENGINE × TRANSMISSION × PRICE

が非常に分かりやすく現れる例です。


Factory Colorsとの関係

1955 CorvetteにはPassenger Chevroletとは別のFactory Color体系があります。

確認している主要色は、

  • Polo White
  • Pennant Blue
  • Corvette Copper
  • Gypsy Red
  • Harvest Gold

です。

ここでもPassenger ChevroletのPaint Code表をそのまま使いません。

Corvetteは、

BODY

ENGINE

COLOR

のすべてでPassenger lineからある程度独立して扱う必要があります。


EngineとColorの組み合わせまで追えるか

ここは将来の研究テーマとして非常に面白い。

700台という少数生産だからこそ、

Color × Engine

まで追える可能性があります。

たとえば、

Pennant BlueのV8は何台確認できるのか。

Six CorvetteにどのColorが存在したのか。

Factory recordsまで到達できれば、非常に価値の高い資料になります。

ただし現段階では推測で表を作りません。


1955 Corvetteを現車で見る

70年以上経った現在、1955 CorvetteにV8が載っているからといって、それだけでOriginal V8 carとは判断できません。

逆も同じです。

確認すべきなのは、

BODY

本当に1955 Model 2934なのか。

ENGINE

265なのか。

DATE

Engineの製造時期は適切か。

STAMPING

Engine stampingは何を示すか。

TRANSMISSION

Period-correctな組み合わせか。

DOCUMENTATION

個体履歴を裏付ける資料があるか。

です。


Period-CorrectとOriginalを分ける

たとえば1955 CorvetteへPeriod-correctな265を後から搭載した場合。

それは、

1955仕様として正しい

可能性があります。

しかし、

その個体が新車時からV8だった

こととは別です。

MUDIMUでは、

Factory Available

当時設定されていた。

Period-Correct

1955仕様として成立する。

Original to This Car

その個体に新車時から搭載。

Currently Installed

現在搭載されている。

を分けます。

Corvetteのように価値がOriginalityへ大きく左右される車では、特に重要です。


Passenger 265とCorvette 265を混ぜない

1955年の記事群を検索すると、

162 hp。

180 hp。

195 hp。

という数字が並びます。

これを全部、

1955 Chevrolet 265

としてまとめると分かりにくくなります。

MUDIMUではApplicationを必ず書きます。

Passenger

162 hp Standard V8

Passenger

180 hp Power Pack

Corvette

195 hp V8

同じ265というFamilyでも、別Specificationです。


Passenger 235とCorvette 235も混ぜない

Sixも同じです。

Passenger / Gearshift

235.5 cu in / 123 hp

Passenger / Powerglide

235.5 cu in / 136 hp

Corvette

235 cu in / 150 hp

これで初めて1955 Chevrolet Sixの全体像が見えてきます。

排気量だけではEngineを識別できない。

No.34で作った原則がここでも効いてきます。


1955 Corvetteは「V8元年」だけではない

1955 Corvetteについて、

「初めてV8が載ったCorvette」

と説明するのは間違いではありません。

しかし、それだけでは非常にもったいない。

1955年は、

Blue-Flame Six最後の年

であり、

265 V8最初の年

であり、

初期1953〜55 BODY最後の年

でもある。

つまり三つの境目が重なっています。


1956年につながる

翌1956年。

Corvetteは新しいBODY Stylingへ進みます。

そしてV8がCorvetteの中心になっていく。

そう考えると1955年は、

1953–54 Corvette

1956以降のCorvette

の間にある単なる一年ではありません。

旧BODYのまま、Powertrainだけ先に次世代へ踏み出した一年。

この見方がMUDIMUらしいと思います。


MUDIMU POWERTRAIN MAP

1955 Corvetteを最終的には次のように記録します。

項目Six CorvetteV8 Corvette
Year19551955
Model29342934
BODYRoadsterRoadster
Seats22
Engine235 Six265 V8
Power150 hp195 hp
Carburetion3 × 1-barrel4-barrel
TransmissionPowerglide3-Speed Manual
Price$2,774$2,909
Total model production700 total700 total
Engine-specific production要一次確認要一次確認

この最後の行を無理に埋めない。

分からないものを「分からない」と残せる台帳の方が、後で強くなります。


MUDIMU Conclusion

1955 CorvetteをBODYだけで見ると、

初期Corvette BODY最後の年

です。

Engineだけを見ると、

265 V8最初の年

です。

235 Sixを見ると、

Blue-Flame Corvette最後の年

です。

この三つを重ねると、1955 Corvetteの意味が変わります。

古いCorvetteが終わった年ではない。

新しいCorvetteが、BODYより先にEngineから始まった年だった。

同じModel 2934の中に、

235 Six + Powerglide。

265 V8 + 3-Speed Manual。

という二つのCorvetteが存在した。

だから1955 Corvetteは、わずか700台という希少性だけで面白い車ではありません。

初期CorvetteとV8 Corvetteが、一年間だけ同じBODYの中で交差した。

これこそMUDIMUが1955 Corvetteを残す理由です。


MUDIMU Research Note

現段階では、1955 Corvette総生産700台はGM Heritageに基づく強い数字として扱います。

一方で広く知られる**「Six搭載6台」などのEngine別Production Numberは、総生産700台と同じ確度では扱いません。**一次資料・Corvette専門資料の出典系統を追ってから判定します。

また、235 Six=150 hp / triple 1-barrel / Powerglide、265 V8=195 hp / 4-barrel / 3-Speed Manualを基本線としつつ、Carburetor、Compression Ratio、Engine suffix、Transmission identificationなどはNo.40のEngine Identificationとも接続して精査します。

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この記事を書いた人

1959、1960、1962、1968年式Chevroletの所有経験を持つ。現在、当時のChevrolet資料をもとにBODY、COLOR、TRIMを中心とした日本語アーカイブを構築中。

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