第37回|1955 Chevrolet Transmission Guide
3-Speed、Overdrive、Powerglide――Engineだけでは分からない1955年のChevy
1955 Chevrolet Transmission Guide|3-Speed・Overdrive・Powerglideを徹底研究
1955 ChevroletのEngineを調べると、
235 Six。
265 V8。
123 hp。
136 hp。
162 hp。
180 hp。
という数字が出てきます。
しかし、ここでEngineだけを見ていると1955 Chevroletを半分しか理解できません。
なぜならChevroletは、
ENGINEとTRANSMISSIONを組み合わせて売っていた
からです。
235 Sixでも、TransmissionによってEngine Specificationが違う。
265 V8でも、Transmissionとの組み合わせが重要になる。
さらにRear Axle Ratioまで含めて、Chevroletはこれを、
POWER TEAM
として考えていました。
今回はBODYとENGINEに続く第三の軸、
TRANSMISSION
を整理します。
TRANSMISSION MAP|1955 Passenger Chevrolet
1955 Passenger Chevroletで、まず押さえるべきTransmissionは大きく3系統です。
3-Speed Manual
一般的なManual / Gearshift。
3-Speed Manual with Overdrive
Overdriveを組み込んだManual。
Powerglide
ChevroletのAutomatic Transmission。
この3つを基本線として考えると、1955 ChevroletのPower Teamがかなり見やすくなります。
ただし、
すべてのBODY × ENGINEに、この3種類すべてが設定された
とは考えません。
BODY、Engine、Series、Option availabilityを個別に確認します。
3-SPEED MANUAL|1955 Chevroletの基本
1955 Chevroletの基本Transmissionが、
3-Speed Manual
です。
Period literatureでは、
Synchro-Mesh
Gearshift
などの表現も見られます。
ここで重要なのがNo.34で調べた235 Six。
Passenger Chevroletでは、
123 hp Six
がGearshift側の基本仕様として設定されました。
つまり、
235 Six / 123 hp
という数字だけでは情報が足りません。
より正確には、
235 Six / 123 hp / Gearshift
というPower Teamとして見る必要があります。
COLUMN SHIFT|「3速マニュアル」だけでは見えない
1950年代のPassenger Chevroletを現代のManual車から想像すると、Floor Shiftを思い浮かべるかもしれません。
しかし通常のPassenger Chevroletでは、Steering Column側で操作するColumn Shiftが基本的な世界です。
いわゆる、
Three-on-the-tree
として後世に親しまれる形式です。
これは1955 ChevroletのInteriorを見るうえでも重要です。
Transmissionは床下の機械だけではありません。
Driverが触るInterior Specificationにも関係します。
OVERDRIVE|もう一つのManual
そして非常に面白いのが、
Overdrive
です。
1955 ChevroletではManual TransmissionにOverdriveを組み合わせたPower Teamが用意されました。
これは単純に、
「4速Manualがあった」
という意味ではありません。
基本となる3-Speed ManualへOverdrive機構を加え、高速巡航時のEngine speedを抑える方向の仕組みです。
だからMUDIMUでは、
3-Speed + Overdrive
として記録します。
OVERDRIVEは何のためだったのか
1955年のAmerican automobileを考えると、高速道路を含む長距離移動の重要性が高まっていました。
Overdriveは、
Cruising。
Fuel economy。
Engine speed。
Driving comfort。
といった面で意味を持ちます。
つまり、
Performance Optionだけではない。
1955 Chevroletを日常的に使うためのPower Teamでもありました。
123 HP SIX × OVERDRIVE
No.34でも触れましたが、1955 Chevrolet Engineering資料では、
123 hp Six
Gearshift with Overdrive
という組み合わせが示されています。
さらにRear Axleとの組み合わせまで設定されていました。
ここが面白い。
同じ235 Sixでも、
普通の3-Speed。
Overdrive付き3-Speed。
Powerglide。
で車の性格が変わります。
POWERGLIDE|ChevroletのAutomatic
そして1955 Chevroletで重要なのが、
Powerglide
です。
Chevroletが1950年代に展開していたAutomatic Transmission。
1955年にもPassenger Chevroletの重要な選択肢でした。
しかしPowerglideを、
「ManualをAutomaticに交換しただけ」
と見ると、Engine Specificationを読み違えます。
136 HP SIX|PowerglideとEngineがつながる
235 Sixがその代表です。
Manual / Gearshift側では、
123 hp
一方Powerglideとの組み合わせでは、
136 hp
仕様が設定されました。
つまり、
Transmissionを選ぶと、Engine Specificationまで変わる。
ここが1955 Chevrolet Engine研究でTransmissionを無視できない最大の理由です。
123 HP vs 136 HP
同じ235.5 cu in Inline-Six。
それなのに、
123 hp。
136 hp。
という二つの数字がある。
これを資料の食い違いだと思ってはいけません。
MUDIMUでは、
123 hp
Gearshift側
136 hp
Powerglide側
として分けます。
だから現車について、
「1955 Chevrolet 235」
だけではFactory Specificationは確定しません。
265 V8 × TRANSMISSION
新しい265 V8でもTransmissionは重要です。
Passenger Chevroletの265には、
162 hp Standard V8。
180 hp Power Pack。
という主要仕様があります。
しかし、
265だから全部同じTransmissionを選べた
とは限りません。
Manual。
Powerglide。
Power Pack。
Rear Axle。
これらの組み合わせをPower Teamとして確認する必要があります。
POWER PACK|Transmissionとは別の軸
ここは混同しないようにします。
Power Pack=Transmissionではありません。
Power Packは265 V8のPerformance Specification側のPackageです。
4-barrel carburetor。
Dual Exhaust。
その他の仕様差。
これとTransmission choiceが組み合わされます。
つまり、
Engine Package
と
Transmission
は別の選択軸です。
POWER TEAM|Chevrolet自身の考え方
1955 Chevroletを調べていて非常に面白いのが、
Power Team
という考え方です。
Engineだけを単独で見るのではなく、
ENGINE
+
TRANSMISSION
+
REAR AXLE
を組み合わせる。
これが当時のChevroletを理解する非常に良い方法です。
MUDIMUでもこの考え方を採用します。
REAR AXLE|Transmissionの先にあるもの
たとえばPeriod Engineering資料では、
235 Six / Gearshift。
235 Six / Overdrive。
235 Six / Powerglide。
それぞれについてRear Axle Ratioとの組み合わせが示されています。
ここまで来ると、
「1955 Chevyは235です」
では全く足りないことが分かります。
何を積み、何を通して、どのAxleを回したのか。
これがPower Teamです。
3.70 / 4.11 / 3.55|Ratioにも意味がある
Period Engineering資料で確認できる代表的な組み合わせとして、
123 hp Six + Gearshift + 3.70 axle
123 hp Six + Overdrive + 4.11 axle
136 hp Six + Powerglide + 3.55 axle
があります。
一見すると、
「Overdriveなのに4.11?」
と思うかもしれません。
しかしOverdrive作動時にはTransmission側で回転を落とせるため、Final Driveだけを見て車の巡航特性を判断できません。
これもPower Teamで見る意味です。
BODY × TRANSMISSION|ここからMUDIMUになる
Transmission史だけなら、海外に優れた資料がたくさんあります。
MUDIMUがやるべきなのは、
BODYへ戻すこと。
150 Utility Sedanでは?
150 Handymanでは?
Delrayでは?
210 Sport Coupeでは?
Bel Air Convertibleでは?
Nomadでは?
Sedan Deliveryでは?
それぞれについてTransmission Availabilityを調べます。
150|廉価SeriesだからManualだけ、ではない
150というSeries名を見ると、
「一番安いから3-Speed Manualだけ」
と思いたくなります。
しかし1955 Chevroletの商品体系はそれほど単純ではありません。
Engineでも150にV8がありました。
Transmissionについても、
Series hierarchyだけでOptionを決めつけない。
Factory SpecificationsとOrder informationで確認します。
HANDYMAN|WAGONにもPower Teamがある
MUDIMUが特に追っている、
150 Handyman 1263F。
210 Handyman 1063F。
これらもBODYだけでは完成しません。
たとえば、
150 Handyman / 235 / 3-Speed
150 Handyman / 265 / Powerglide
など、Factoryで成立した組み合わせを確認していく。
これによって、
1955年に実際に注文できたHandyman
が見えてきます。
DELRAY|Interiorだけでは終わらない
Delray 1011A。
これまでMUDIMUでは、
普通の210 2-Door Sedanと何が違うのか。
専用Trim。
Interior。
BODY relationship。
を調べました。
そこへ、
Engine。
Transmission。
を加える。
するとDelrayは、
BODY × TRIM × ENGINE × TRANSMISSION
で見ることができます。
これがMUDIMUの図鑑としての完成形に近い。
SPORT COUPE|HardtopだからPerformance仕様とは限らない
210 Sport Coupe。
Bel Air Sport Coupe。
現在見ると、Hardtop CoupeにはV8 Performance specificationを期待したくなります。
しかし、
BODY STYLEからEngine / Transmissionを推測しない。
SixのSport Coupe。
V8のSport Coupe。
Powerglide。
Manual。
Factoryで何が設定されたのかを資料で確認します。
見た目がSportyだからMechanical SpecificationもSportyだった、とは限りません。
CONVERTIBLE|Open BODYでも同じ
Bel Air Convertibleも同様です。
No.18で調べた1067D / 1067DTX。
5人乗りのOpen Chevrolet。
これにも235 Sixと265 V8の価格設定が確認されています。
TransmissionもBODYから決めつけない。
Convertible=V8+Automatic
という後世のイメージを持ち込まないことが重要です。
NOMAD|Transmissionでも要注意
NomadはEngineでも未解決点があります。
SixのFactory Availability。
V8 Standardという説明。
Price Schedule上のSix価格。
ここへTransmissionまで加わります。
だからNomadについては、
ENGINE × TRANSMISSIONをセットで一次確認する
必要があります。
「NomadはPowerglideだった」
のような一括説明もしません。
SEDAN DELIVERY|Commercial BODYは別扱い
Sedan Delivery 1271も慎重に扱います。
Passenger Car由来のCommercial BODY。
現存車では様々なEngine / Transmission Swapが行われています。
Period examplesとして235 Six+3-Speedが確認できますが、
V8。
Powerglide。
その他のFactory Availabilityは、Commercial documentationまで確認します。
Passenger SedanのOption表をそのまま1271へコピーしません。
CORVETTE|PassengerのTransmission表を使わない
Corvetteも独立です。
1955 Corvetteは、
235 Six。
265 V8。
というEngine Variationを持ちます。
さらにTransmissionについてもPassenger 150 / 210 / Bel Airと同じ表で処理しません。
CorvetteのPowertrainはNo.38で、
Engine × Transmission
として独立整理します。
TRUCK|Transmissionの世界がさらに広がる
Truckはもっと複雑です。
1st Series。
2nd Series / Task Force。
3100。
3200。
3600。
3800。
Pickup。
Panel。
Suburban。
Cameo。
用途やGVWによってTransmission Specificationが違います。
だからPassengerの、
3-Speed。
Overdrive。
Powerglide。
という表だけでTruckを説明しません。
TruckはNo.39で別体系にします。
AUTOMATICだから高級、とは限らない
Powerglideを見ると、
「Automatic=上級車」
という現代的な感覚を持ち込みたくなります。
しかし1955 Chevroletでは、
Series。
BODY。
Engine。
Transmission。
をそれぞれ選択していく商品体系でした。
だから、
150だからManual。
Bel AirだからPowerglide。
とは決めつけません。
SeriesとTransmissionは別の軸。
これもBODYとEngineで見てきたことと同じです。
TRANSMISSIONはINTERIORにも現れる
Transmissionを調べると、BODYやInterior写真の見方まで変わります。
Column Shift lever。
Selector。
Pedal configuration。
Steering column。
Instrument / indicator。
つまり、
Transmissionは外から見えないFactory Specificationではない。
Interiorを見れば手掛かりがあります。
これは現車判定にも使えます。
ただし現在のInteriorだけでFactoryを断定しない
Classic Chevroletは70年以上経っています。
Floor Shift conversion。
Automatic conversion。
Modern Transmission。
Steering column replacement。
Pedal modification。
こうした変更は珍しくありません。
したがって、
「Floor ShiftだからFactory Manual」
とも、
「Powerglide selectorがあるからOriginal」
とも断定しません。
FACTORY AVAILABLE ≠ ORIGINAL ≠ CURRENT
Engineと同じルールをTransmissionにも使います。
FACTORY AVAILABLE
そのBODY / EngineでFactory設定可能だった。
PERIOD-CORRECT
1955年仕様として成立する。
ORIGINAL TO THIS CAR
その個体が新車時に搭載していた。
CURRENTLY INSTALLED
現在装着されている。
この4つを分離します。
MUDIMU TRANSMISSION LEDGER
今後、Transmission台帳には最低限これを残します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| Year | 1955 |
| Series | 150 / 210 / Bel Air |
| Model | Model Number |
| Fisher Style | BODY |
| Engine | 235 / 265 |
| Engine Spec | 123 / 136 / 162 / 180 etc. |
| Transmission | 3-Speed / O.D. / Powerglide |
| Rear Axle | Ratio |
| Factory Availability | A / B / C / ? |
| Source | Chevrolet / GM / Period |
| Notes | Restrictions / conflicts |
これならTransmissionが単独のスペック表になりません。
1955 CHEVROLET ORDER MAPへ
No.36で、
BODY × ENGINE
まで来ました。
今回No.37で、
BODY × ENGINE × TRANSMISSION
へ進みます。
さらに、
Rear Axle。
Color。
Trim。
Price。
を重ねる。
最終的には、
1955年にDealerでどんな一台を注文できたのか
を復元できるようになります。
たとえば150 HANDYMANを完全に記録する
将来的には、
1955 Chevrolet 150 Handyman
Model:1529
Fisher Style:55-1263F
BODY:2-Door Station Wagon
Engine:235 Six
Engine Spec:123 hp
Transmission:3-Speed Manual
Rear Axle:確認
Paint:599
Trim:524
というところまで一台を表現する。
別の1263Fなら、
265 V8。
Powerglide。
別Paint。
別Trim。
かもしれない。
同じBODYでも一台一台の構成が変わります。
BODYが同じでも、Chevyは同じではない
これが今回の記事で一番面白いところです。
同じ、
55-1263F
でも、
Engineが違う。
Transmissionが違う。
Paintが違う。
Trimが違う。
つまりFisher BODY STYLEは車の重要な骨格ですが、
完成したChevroletそのものではない。
BODYの上にFactory Specificationが積み重なって一台になります。
MUDIMU CONCLUSION
Engineだけでなく、Power Teamを見る。
1955 ChevroletのTransmissionを調べる理由は、
「3速かAutomaticか」
を知るためだけではありません。
235 Sixの123hpと136hpの違い。
265 V8との組み合わせ。
Overdrive。
Powerglide。
Rear Axle。
それらを組み合わせて、
ChevroletはPower Teamを作っていた。
だからMUDIMUでも、
BODY。
ENGINE。
TRANSMISSION。
を別々の情報で終わらせません。
そのBODYを、どんなPower Teamで買えたのか。
ここまで追います。
1955 ChevroletはBODY Variationだけでも面白かった。
ENGINEを加えるとさらに面白くなった。
そしてTRANSMISSIONを重ねると、
1955年に実際に選べたChevy
が見え始めます。
MUDIMU Research Note
No.37では1955 Passenger ChevroletのTransmission体系を、
3-Speed Manual
3-Speed Manual + Overdrive
Powerglide
の3系統を中心に整理しました。
特に235 Sixでは、
123 hp + Gearshift
123 hp + Overdrive
136 hp + Powerglide
というPower Teamの違いを重要視します。
代表的なPeriod Engineering記載として、
123 hp Six + Gearshift + 3.70 axle
123 hp Six + Overdrive + 4.11 axle
136 hp Six + Powerglide + 3.55 axle
を研究基準にします。
今後一次資料でさらに詰めるのは、各BODYへのOverdrive / Powerglide Availability、265 162hp / 180hpとTransmissionの組み合わせ、Nomad、Sedan Delivery、Rear Axle option、Transmission identificationです。

コメント