1956 Chevrolet No.24
1956 Chevroletには、二つのHardtopがあります。
Sport Coupe。
そして、
Sport Sedan。
どちらもHardtop。
どちらも6-Passenger。
どちらも115-inch Wheelbase。
そしてSide Glassを下げれば、固定されたCenter Postを残さない開放的なSide Viewを作ります。
しかしBODYは同じではありません。
2-Door Hardtopは1037系。
4-Door Hardtopは1039系。
1956 Chevrolet Factory Specificationsでは、Sport Coupeを「6-passenger, 2-door, 5-window coupe with hardtop」、Sport Sedanを「6-passenger, 4-door, 5-window sedan with hardtop」と明確に分けています。
今回はSeriesやTrimをいったん脇へ置きます。
Doorを2枚から4枚へ増やしたとき、Hardtop BODYは何を変えなければならなかったのか。
1037と1039を、BODYだけで比べます。
1037 vs 1039|まずFactory Definitionから見る
Factory Specifications上の違いは非常に明快です。
| 項目 | 1037系 | 1039系 |
|---|---|---|
| Factory Name | Sport Coupe | Sport Sedan |
| BODY | Hardtop Coupe | Hardtop Sedan |
| Doors | 2 | 4 |
| Passenger | 6 | 6 |
| Windows | 5-window | 5-window |
| Wheelbase | 115 in. | 115 in. |
| Fixed Center Post | なし | なし |
| 1956での位置 | 継続BODY | 新BODY |
つまり基本条件の多くは似ています。
しかし最大の違いは、
2-Doorか4-Doorか。
これだけ見ると簡単です。
BODY研究はここから始まります。
HARDTOP|共通しているのは「柱が見えない」こと
まず両BODYの共通点です。
Sport CoupeもSport Sedanも、通常Sedanのような固定B-PillarをSide Window Areaに持ちません。
Side Glassを下げれば、RoofからBeltlineへ下りる固定Postが残らない。
これがHardtopらしいSide Viewを作ります。
1956年当時の記事でも、新しい4-Door Sport Sedanについて「window areaにobstructing center pillarがない」と紹介されています。
つまり1039は、
1037が持っていたHardtopの視覚効果を4-Doorへ持ち込んだBODY
と考えることができます。
1037|2枚のDoorでHardtopを作る
まず1037。
Front Doorは長い。
Rear Doorはありません。
Front Door後方にはRear Quarter Glassがあります。
Side Viewを大きく分ければ、
Front Door Glass → Quarter Glass
という構成です。
そして固定B-Pillarを置かない。
これによってSide Glassを下げたとき、大きな一つの開口として見えます。
【画像予定:1956 Sport Coupe Side Glass DOWN】
2-Door Hardtopでは、この長いFront DoorとRear Quarter AreaがBODY Characterを作ります。
1039|4枚のDoorで同じ開放感を作る
1039では事情が変わります。
Front Door。
Rear Door。
つまり片側に2枚のDoorがあります。
それでもHardtopとして成立させなければならない。
当時の1956 Chevrolet紹介記事は、新Sport Sedanについて、rear doors are hinged to sturdy body membersであることを設計上のポイントとして紹介しています。現存車紹介にも当時Brochureのこの説明が引用されています。
ここが1039の面白いところです。
1037ではQuarter Glassだった領域へ、1039ではRear Doorという可動BODYを入れなければならない。
それでも固定Center Postを見せない。
DOOR|1037と1039最大の違い
BODYとして最も分かりやすい違いです。
1037 Sport Coupe
片側1 Door。
長いFront Door。
Rear Doorなし。
1039 Sport Sedan
片側2 Doors。
Front Door。
Rear Door。
つまり単純にDoor枚数が倍になっただけではありません。
Door Openingそのものの構成が変わります。
Front Doorの長さ。
Rear Door Opening。
Roof Railとの関係。
Glass。
Weatherstrip。
Latch。
これらすべてを再構成する必要があります。
FRONT DOOR|同じHardtopでも同じDoorとは考えない
ここは実車Restorationでも重要です。
「どちらも1956 Chevrolet HardtopだからFront Doorも同じだろう」
とは判断できません。
1037はRear Doorがないため、Front DoorがSide Openingの大きな部分を担当します。
1039にはRear Doorがあります。
したがってFront Door OpeningのGeometryそのものが異なります。
現段階でMUDIMUでは、
1037と1039のDoor Shellは別物として確認が必要
とします。
最終的なFactory Part Number比較はParts Bookで行います。
REAR AREA|Quarter GlassかRear Doorか
ここがBODYとして非常に面白い。
1037ではFront Door後方に、
Rear Quarter Glass
があります。
1039ではそこへ、
Rear Door
が入ります。
つまり同じHardtopでも、Cabin Sideを構成する方法が違う。
1037 SPORT COUPE
FRONT
│
│ Front Door
│
│ Door Glass
│
│ Quarter Glass
│
└──────── REAR
1039 SPORT SEDAN
FRONT
│
│ Front Door
│
│ Front Door Glass
│
│ Rear Door
│
│ Rear Door Glass
│
└──────── REAR
これだけでも、
1039は1037へDoorを追加しただけではない
ことが分かります。
CENTER|1039で最も難しい場所
1037ではFront DoorとQuarter Areaの間に固定B-Pillarがありません。
1039ではさらに難しくなります。
Front Door後端とRear Door前端が中央で出会う。
しかも通常4-Door Sedanのような固定Center PostをWindow Areaへ置かない。
1956 ChevroletのPeriod Advertisingも、この特徴を非常に直接的に、
“Four doors and no sideposts”
と宣伝しました。
広告文として非常にうまい。
1039のBODYをほぼ一言で説明しています。
WINDOW DOWN|2台を比較するならこの状態
1037と1039を比較するなら、窓を閉めた写真だけでは足りません。
全部下げる。
これです。
1037では、
2-Door Coupeらしい長いSide Opening。
1039では、
4-Doorなのに中央へ固定Postを残さないSide Opening。
【画像予定:1037 vs 1039 Side Glass DOWN比較】
この一枚を作れば、文章を何百字書くより分かりやすい。
MUDIMUで将来作るべき重要なBODY比較図です。
ROOF|似て見えても同じとは限らない
Side ViewではどちらもLow & AiryなHardtopに見えます。
しかしRoofを、
「同じHardtop Roof」
と簡単にまとめない方がいい。
Door Openingが違う。
Glass Geometryが違う。
Roof RailとWeatherstripの受け方が違う。
Rear Doorが存在する。
したがってRoof Side Structureにも違いが生まれる可能性があります。
ただし、
Roof PanelそのもののFactory Part Numberが1037と1039でどう違うのか
はParts Book確認前には断定しません。
GLASS|BODYの違いを追う重要な証拠
GlassはMUDIMUで今後かなり重要になります。
1037と1039ではSide Glass構成が明らかに違う。
1037:
Front Door Glass。
Rear Quarter Glass。
1039:
Front Door Glass。
Rear Door Glass。
そしてHardtopなので、Glass同士とRoof RailのSealingを成立させる必要があります。
Glass Shape。
Channel。
Regulator。
Weatherstrip。
これらを追えば、BODY Structureの違いがかなり見えてくるはずです。
B-PILLAR|「ない」という言葉を正確に使う
1037も1039も、
B-Pillarがない
と一般的には説明されます。
ただし「車体中央に何も存在しない」という意味ではありません。
Doorを閉めるための構造。
Latch。
Door Edge。
Glass Sealing。
Body Side Structure。
こうしたものは必要です。
MUDIMUでいうPillarlessとは、
通常SedanのようにRoofからBeltlineへつながる固定Center PostがWindow Areaに残らない。
という意味です。
ここを曖昧にしません。
1039は「1037+Rear Door」ではない
これが今回の記事の中心です。
数字だけ見れば、
1037。
1039。
どちらもHardtop。
そこで1039を、
Sport CoupeへRear Doorを追加したもの
と説明したくなります。
しかしBODYとして見ると違います。
Front Doorを変える。
Rear Door Openingを作る。
Glass構成を変える。
Center Meetingを作る。
Weather Sealingを変える。
Roof Sideとの関係を変える。
Rear Seat Accessも変わる。
つまり、
1039は1037のDoor追加版ではなく、Hardtopという考え方を4-Door用に作り直したBODY。
ここが重要です。
REAR SEAT|同じ6-Passengerでも乗り方が違う
Factory Specificationsでは1037系も1039系も6-Passengerです。
しかしRear SeatへのAccessは大きく違います。
1037 Sport CoupeではFront DoorからRear Seatへ乗り込む。
1039 Sport SedanではRear Doorから直接乗り込める。
つまり、
定員は同じ。
でも、
人間がCabinをどう使うかが違う。
BODY Variationは外観だけの話ではありません。
SPORT COUPE|Stylingを優先したHardtop
1037の魅力は2-DoorならではのSide Proportionです。
長いDoor。
少ないCut Line。
大きなQuarter Area。
Pillarless Glass。
そのためSide Viewが非常にすっきりします。
1956 Bel Air Sport Coupeは128,382台というProduction値が報告されています。
Hardtop Stylingそのものを楽しむなら、1037系は非常に分かりやすいBODYです。
SPORT SEDAN|Hardtopを実用側へ広げた
1039ではRear Doorを加えることで、
Hardtop Stylingを残しながらRear Seat Accessを改善しました。
1956年のChevrolet発表を報じたPeriod Newspaperも、新しい4-Door Hardtopについて、Sport Coupeと同様のStylingを持ちながらCenter PillarをWindow Areaからなくした新BODYとして紹介しています。
つまり1039は、
HardtopをFamily Useへ広げたBODY
と見ることができます。
1956年に1039が追加された意味
1956 Chevrolet Engineeringの流れを見ると、BODY Variationの拡大が非常に重要です。
9-Passenger Wagon。
4-Door Hardtop。
1956年には計19 Modelsが用意され、Period Advertisingも「two new 4-door hardtops」と「two new 9-passenger station wagons」を新要素として前面に出しました。
つまりChevroletは、
一つのBODYで全員に対応する
のではなく、
使い方に合わせてBODYを細かく選ばせる
方向へ進んでいます。
1039はその象徴です。
TWO-TEN|同じSeriesの中でも選べた
1956 Two-Tenでは、
Sport Coupe。
Sport Sedan。
両方が存在しました。
2-Door Hardtopが欲しいならSport Coupe。
Rear Doorも欲しいならSport Sedan。
つまり顧客はSeriesを変えなくても、
HardtopのDoor数を選べた。
これはBODY Variationとしてかなり面白い。
BEL AIR|こちらも1037Dと1039D
Bel Airでも同じです。
Factory Specificationsでは、
2454 / 56-1037D
Sport Coupe。
2413 / 56-1039D
Sport Sedan。
と記録されています。
ここでFactory Specificationsそのものについて重要な点があります。
同資料の検索可能表ではTwo-Ten Sport Coupe 2154にも56-1037Dと表示されています。
したがって、No.19から残っている、
210 Sport Coupeが1037なのか1037Dなのか
という問題は、この記事でも無理に解決しません。
一方Sport Sedanは、
210=1039。
Bel Air=1039D。
とFactory Specificationsで明確に分かれています。
1037問題を1039から類推しない
ここは本気の資料として大切です。
1039では、
210=1039。
Bel Air=1039D。
だから、
1037でも、
210=1037。
Bel Air=1037D。
だろう。
そう推測することはできます。
しかし、
規則性があることと、Primary Sourceで確認したことは別です。
Factory Specificationsの2154欄が1037Dになっている以上、1037問題はConflictとして残します。
MUDIMUでは綺麗な表を作るために資料を曲げません。
PRODUCTION|2-Doorと4-Doorはどちらが売れたのか
Bel Airなら比較できます。
Over-DriveのProduction資料では、
Bel Air Sport Coupe 1037D:
128,382台
Bel Air Sport Sedan 1039D:
103,602台
とされています。
かなり面白い数字です。
新登場した4-Door Hardtopが、初年度から10万台を超えています。
しかも2-Door Sport Coupeとの差は、圧倒的というほどではありません。
128,382 vs 103,602
差は、
24,780台。
Sport Coupeの方が多い。
しかし新BODYのSport Sedanも非常に大きなProductionです。
これは1039が、
「珍しい実験的BODY」
ではなかったことを示します。
4-Doorの実用性とHardtop Stylingの組み合わせに、かなり大きな需要があったことはProductionから読み取れます。
ただし購入理由そのものはFactory調査なしに断定しません。
PRICE|BODYには価格差もあった
同じOver-Drive資料ではBel Air Six-cylinderのBase Priceとして、
Sport Coupe 1037D:
$2,176
Sport Sedan 1039D:
$2,230
が掲載されています。
差は**$54**。
V8でも、
Sport Coupe:$2,275
Sport Sedan:$2,329。
同じく$54です。
つまりこの資料では、4-Door Hardtopの方が少し高く設定されています。
ただしOriginal Priceの最終整理はNo.31で行います。
WEIGHT|1039の方が重い
同じ資料でBel Airを比較すると、
Sport Coupe:
Six 3,232 lb
V8 3,212 lb
Sport Sedan:
Six 3,280 lb
V8 3,260 lb。
差は、
48 lb。
1039Dの方が重い。
Rear Door。
Door Hardware。
Body Structure。
Glass。
その他複数の違いが関係する可能性があります。
しかし、
48 lb=4-Door Hardtop補強重量
とは断定できません。
Factory Parts比較なしに原因を一つへ決めない。
SIDE PROFILE|どちらが美しいかではなく、何を優先したか
1037は、
長いFront Door。
大きなRear Quarter。
少ないDoor Cut Line。
2-Doorらしい伸びやかなSide Profile。
1039は、
Front Door。
Rear Door。
増えたCut Line。
それでも固定Center Postを消した開放的なSide Glass。
どちらが上という話ではありません。
BODYとして目的が違います。
1037は2-Door Hardtop。
1039は4-Door Hardtop。
BODY MAP|1956 HARDTOPを一枚にする
MUDIMUでは最終的に、こういう図を作りたい。
1956 CHEVROLET HARDTOP BODY MAP
2-DOOR 4-DOOR
│ │
│ │
SPORT COUPE SPORT SEDAN
│ │
1037系 1039系
│ │
┌─────────┴───────┐ ┌──────┴─────────┐
│ │ │ │
TWO-TEN BEL AIR TWO-TEN BEL AIR
2154 2454 2113 2413
1037D 1039 1039D
※Two-Ten Sport CoupeのFisher Style suffixはPrimary Source conflictが残るため、ここでは「1037系」として扱います。
これなら1956 Hardtopの全体像が一目で分かります。
実車ならどこを見るか
1956 Chevrolet Hardtop候補を見るなら、最初にDoor枚数だけ数えて終わりではありません。
2-Doorなら1037系候補。
4-Doorなら1039系候補。
次に固定Center Postの有無。
そしてCowl Tag。
Series。
Style Number。
BODY Number。
TRIM。
PAINT。
VIN。
最後にEngine / Transmission。
この順です。
「Bel Air Hardtop」という名前だけでBODYを決めない。
2-Doorなのか。
4-Doorなのか。
そこからBODY研究が始まります。
MUDIMU VIEW|Doorが2枚増えただけではない
1037と1039。
数字だけなら近い。
見た目もHardtop。
Passenger Capacityも6人。
Wheelbaseも115 inches。
しかしBODYの使い方は大きく違います。
1037は長いFront DoorとQuarter AreaでHardtopを作った。
1039はFront DoorとRear Doorを持ちながら、固定Center PostをWindow Areaから消した。
つまり、
1037がHardtopという「形」を見せたBODYなら、1039はHardtopという「考え方」を4-Doorへ広げたBODY。
ここに1956 Chevroletの進化があります。
CONCLUSION|1039は1037にDoorを足した車ではない
1956 Chevrolet Sport Coupe。
2-Door。
6-Passenger。
Hardtop。
1037系。
1956 Chevrolet Sport Sedan。
4-Door。
6-Passenger。
Hardtop。
1039系。
Factory Specificationsは両者を別BODY Typeとして明確に記録しています。
共通するのはHardtopという考え方。
違うのは、そのHardtopをどうBODYとして成立させたか。
1037ではRear Doorを持たない。
1039ではRear Doorを追加しながら、Hardtop特有の開放的なSide Openingを残した。
そしてBel Airでは、Productionが、
1037D Sport Coupe:128,382台
1039D Sport Sedan:103,602台
と記録されています。
新登場した4-Door Hardtopは、決して脇役ではありませんでした。
Doorを2枚増やしたのではない。Hardtopを4-Doorとして作り直した。
これが1037と1039の違いです。
MUDIMU Research Note
A|Factory BODY Definition
1956 Chevrolet Factory SpecificationsはSport Coupeを6-Passenger / 2-Door / 5-window / Hardtop、Sport Sedanを6-Passenger / 4-Door / 5-window / Hardtopとして別々に定義しています。
A|1039 Series distinction
Sport SedanはTwo-Ten 2113=56-1039、Bel Air 2413=56-1039D。Factory Specificationsで確認できます。
A|1956 Sport Sedanの新規性
Period reportingとChevrolet advertisingは、1956年に2つの新しい4-Door Hardtopが追加されたことを記録しています。
B|Production / Price / Weight
Bel Airでは1037D Sport Coupe=128,382台、1039D Sport Sedan=103,602台というProduction値が掲載されています。Price差は同じEngine条件で$54、Shipping Weight差は48 lbです。最終Production/Price整理はNo.31・32で再確認します。
?|210 Sport Coupe 1037問題
Factory Specificationsの検索可能原本ではTwo-Ten Model 2154にも56-1037Dと記載されています。Secondary資料の1037表記とConflictが残るため、No.19の課題として継続します。
?|1037 vs 1039 Factory Parts
Roof Panel、Front Door Shell、Glass、Rear Quarter、Rear Door、Floor、Weatherstrip、Roof Rail、Body ReinforcementのPart Number比較は未完。外観からParts Commonalityを推定しません。
No.24完成です。
次は25|1956 Chevrolet Bel Air Convertible — 1067DTX。ここでHardtopから一気にRoofが消えます。「屋根がないChevy」ではなく、1067DTXというConvertible専用BODYがHardtopと何を変えたのかを追うと、かなり面白くなります。

コメント