1956 Chevrolet No.03
1956 Chevroletと聞いて、多くの人が最初に思い浮かべるのはBel Airでしょう。
派手なTwo-Tone。
豊富なChrome Trim。
Sport Coupe。
Convertible。
Nomad。
しかし、1956年のChevroletはBel Airだけではありません。
Seriesの一番下には、
One-Fifty Series 1500。
通称、
150(One-Fifty)
が存在しました。
装飾を抑え、価格と実用性を重視したChevroletです。
ところがBODYを調べてみると、この150が実に面白い。
普通の2-Door Sedanと4-Door Sedanだけではありません。
Utility Sedan。
そして、
2-Door Handyman Station Wagon。
1956年の150には、上級Bel Airとは違うChevroletの姿が残っています。
豪華だから面白いのではない。必要なものだけで作られたChevroletにも、独自のBODYがある。
MUDIMUでは1956 Chevroletの入口を、このOne-Fiftyから掘っていきます。
ONE-FIFTY|1956 ChevroletのベーシックSeries
1956 Chevrolet Passenger Carの基本Seriesは三つです。
1500 — One-Fifty
2100 — Two-Ten
2400 — Bel Air
150は、その最もベーシックなSeriesでした。
当時の1956 Chevrolet Factory Specificationsでも、One-Fiftyは独立したSeries 1500として整理されています。
上級装備を売りにするSeriesではありません。
しかし「安いBel Air」と考えるだけでは、この車の面白さを見失います。
150には150の役割がありました。
個人ユーザーだけではなく、仕事、Fleet、Commercial的な用途まで視野に入れたBODYが用意されていたからです。
BODY LINEUP|1956 One-Fiftyには4つのPassenger BODY
1956年のChevrolet Showroom資料とFactory Specificationsを照合すると、One-FiftyのPassenger系BODYは基本的に4種類です。
| BODY | Model | Fisher Style | Seats |
|---|---|---|---|
| 2-Door Sedan | 1502 | 56-1211 | 6 |
| 4-Door Sedan | 1503 | 56-1219 | 6 |
| Utility Sedan | 1512 | 56-1211B | 3 |
| Handyman Wagon | 1529 | 56-1263F | 6 |
ここが重要です。
4種類しかない。
210やBel AirのようにHardtopやConvertibleを大量に持つSeriesではありません。
しかし、その4種類の中に、
Utility Sedan
と、
2-Door Wagon
が入っています。
数は少なくても、BODY研究としては非常に濃いSeriesです。
2-DOOR SEDAN|1502 / 56-1211
まず基本となるのが、
Model 1502。
Fisher Styleは、
56-1211。
Factory Specificationsでは、
2-Door Sedan / 6-passenger / 5-window
として記録されています。
一見すると、非常に普通のChevroletです。
しかし150の2-Door Sedanは、210やBel Airの2-Door Sedanと同じ位置にはありません。
BODYの基本形は近くても、SeriesによってExterior TrimやInterior Trimが違います。
1956年型では150にもSide Chrome Treatmentが与えられていますが、上級Seriesほど華美ではありません。当時の広告でもOne-Fifty独自のChrome Treatmentが訴求されています。
つまり、
BODY ShapeだけでSeriesを断定してはいけない。
1956 Chevroletの実車Identificationでは非常に重要なポイントです。
4-DOOR SEDAN|1503 / 56-1219
もう一つの基本BODYが、
Model 1503。
Fisher Style、
56-1219。
Factory Specificationsでは、
4-Door Sedan / 6-passenger / 7-window
です。
150 Seriesの中では最もオーソドックスなFamily SedanといえるBODYです。
しかし1956年全体から見ると、この車の存在には別の意味があります。
同じ年の210とBel Airには、新しい4-Door Hardtop / Sport Sedanがあります。
150にはありません。
つまり1956 Chevroletの4-Door BODYを並べると、
150=Conventional 4-Door Sedan
から始まり、
210、Bel Airへ上がるにつれてBODY Variationそのものが増えていきます。
Seriesの階層が、装備だけでなく選べるBODYの種類にも表れているのです。
UTILITY SEDAN|1512 / 56-1211B
そしてMUDIMUが150で絶対に外せないBODY。
Utility Sedan。
Model、
1512。
Fisher Style、
56-1211B。
Factory Specificationsには、
3-passenger, 5-window sedan with luggage compartment in rear
と記録されています。
普通の150 2-Door Sedanは6-passenger。
Utility Sedanは3-passenger。
ここが決定的に違います。
1211 vs 1211B|似ているからこそ間違える
BODY Codeを並べると非常に面白い。
通常の150 2-Door Sedanは、
1211。
Utility Sedanは、
1211B。
外から見れば同じ2-Door Sedan系に見えます。
しかしFactoryは別BODYとして区別しています。
通常Sedanは後席を持つ6-passenger。
Utility Sedanは前席のみを基本とする3-passenger。
後部はPassenger Spaceではなく、荷物を載せる用途へ振られています。
二次資料では、固定式Rear Windowや後席を持たないCargo Areaなど、Utility Sedan独自の実用構成も報告されています。
だからMUDIMUでは、
「2ドアセダンみたいだから2-Door Sedan」では終わらせない。
Fisher Styleまで確認します。
UTILITY|Sedanなのに人より荷物を優先する
Utility Sedanという名前自体が、このBODYの性格を表しています。
外側はPassenger Car。
しかし中身は、
人を6人乗せることより、荷物を運ぶことを優先する。
ここが面白い。
Sedan DeliveryほどCommercialに振り切ってはいない。
Station Wagonでもない。
Pickupでもない。
Sedan BODYを仕事に使う。
Chevroletには、こういう中間的なBODYがありました。
Bel Air Sport Coupeだけを追っていたら、まず見えてこないChevroletです。
【画像予定:150 2-Door Sedanと150 Utility Sedanの比較図】
HANDYMAN|1529 / 56-1263F
そしてもう一台。
MUDIMUとして非常に重要なのが、
150 Handyman。
Model、
1529。
Fisher Style、
56-1263F。
これは、
2-Door Station Wagon。
6-passengerです。
1956 ChevroletのPeriod Sales Materialにも、One-Fifty Handymanは正式なWagon Lineupとして掲載されています。
これがいい。
Nomadとはまったく違う方向の2-Door Wagonです。
2-DOOR WAGON|Nomadだけが1956 Chevy Wagonではない
1956 Chevroletの2-Door Wagonを考えると、Nomadが圧倒的に有名です。
しかし1956年には、
150 Handyman
210 Handyman
Bel Air Nomad
という三つの2-Door Wagonがあります。
つまり、
1956 Chevroletの2-Door Wagon=Nomad
ではありません。
むしろSeriesの下から上まで、性格の違う2-Door Wagonが存在していたことの方が面白い。
150 Handymanはその一番実用側です。
豪華なNomadとは違う。
だからこそ魅力があります。
1263F|Handyman独自のBODY
150 HandymanのFisher Styleは、
1263F。
210 Handymanは、
1063F。
そしてNomadは、
1064DF。
同じ2-Door WagonでもCodeが違います。
これこそMUDIMUがBODY Codeまで追う理由です。
市場ではすべて、
「1956 Chevy 2 Door Wagon」
と書かれてしまうことがあります。
しかしFactoryの世界では、
SeriesもBODYも違う。
【画像予定:1263F・1063F・1064DF 2-Door Wagon BODY MAP】
この3台は後のNo.7「1956 Chevrolet 2-Door Wagon」で直接比較します。
FOUR BODIES|150の構成は非常に合理的
改めて150 Seriesだけを並べます。
2-Door Sedan
4-Door Sedan
Utility Sedan
2-Door Handyman Wagon
面白いことに、
Hardtopがありません。
Convertibleもありません。
4-Door Wagonもありません。
豪華さやStyleを優先したSpecialty BODYではなく、
SedanとUtility BODYに集中している。
これは150というSeriesの性格を非常によく表しています。
NO HARDTOP|150には1037も1039もない
1956 ChevroletではHardtopが重要なテーマです。
210とBel Airには、
2-Door Sport Coupe
があります。
さらに1956年には、
4-Door Sport Sedan
も登場しました。
しかし150にはありません。
つまり1956年のSeries階層をBODY Codeで見ると、
150は1211・1219・1211B・1263Fという実用BODY。
210以上になると1037や1039というHardtop BODYが加わる。
これは単なるTrim Levelの違いではありません。
上級Seriesへ行くほど、選べるBODYそのものが増える。
1956 ChevroletのSeries構造は、BODY MAPから見ると非常に分かりやすいのです。
NO CONVERTIBLE|Open BODYもBel Airへ
Convertibleも150にはありません。
1956 ChevroletのConvertibleはBel Air Series。
150の世界は徹底してClosed BODYです。
Sedan。
Utility Sedan。
Wagon。
この割り切りが、むしろ150の個性です。
EXTERIOR|1956年は150も少し華やかになった
「150=何もChromeがない車」
と単純化するのも危険です。
1956年のOne-Fifty広告では、150にも新しいSide Treatmentが与えられたことが訴求されています。
もちろん210やBel Airほど華やかではありません。
しかし1956年型全体のStyling Changeは、廉価Seriesにも反映されています。
そのため実車を見るときは、
Chromeが少ない=150
だけでは判断できません。
後年にBel Air風Trimを追加された車もあります。
逆にTrimが失われた上級Seriesもあります。
BODY Code、Model、Original Trimを合わせて見る必要があります。
INTERIOR|豪華さより耐久性
150のInteriorもSeriesの目的をよく表しています。
上級Bel Airのような豪華さを前面に出すのではなく、実用性を優先した構成です。
Utility Sedanでは特にその性格が強く、後部Passenger Seatを持たずCargo Spaceとして使用する構造が特徴です。二次資料ではRubber Floor Matや簡素な装備なども報告されています。
ただしInterior Color、Trim Code、Seat Materialの正確な組み合わせについては、No.30「1956 Chevrolet Interior & Trim」でFactory Trim資料と照合して扱います。
ここでは、
150=実用Series
という大きな性格だけ押さえておきます。
ENGINE|安いSeriesだからSixだけ、ではない
もう一つ誤解しやすいところがあります。
150だから、
Blue Flame Sixだけ。
ではありません。
1956 Chevroletでは235 Sixに加え、265 Small Block V8も選択肢に入りました。
Period Wagon広告でも、1956 Chevrolet Station WagonにはBlue-Flame SixまたはV8が用意されたことが確認できます。
さらに1956年には265 V8の高出力仕様も展開されます。
つまり、
廉価BODY × V8
という組み合わせが成立する。
後年Hot Rodderが150に注目する理由の一つも、ここにあります。
ただしEngineの詳細はNo.41以降のPOWERTRAIN編でFactory Specificationを使って整理します。
CHEAPEST DOES NOT MEAN BORING|安いから面白くない、ではない
Classic Carの世界では、どうしても当時の最上級Modelに注目が集まります。
Bel Air。
Nomad。
Convertible。
Sport Coupe。
しかし、それだけを残していくと当時のChevroletの姿は歪みます。
実際には、
一番安いSeriesにも専用の役割があった。
Utility Sedan。
Handyman。
Fleet用途。
仕事。
日常。
こうした車こそ、当時のAmericaで実際にChevroletが使われていた姿に近い部分があります。
150 vs 210 vs BEL AIR|装備だけの違いではない
1956 Chevroletの三Seriesを簡単に整理すると、
150
実用性を優先。BODY Variationは限定的。
210
中間Series。しかしBODY Variationは非常に豊富。
Bel Air
上級Series。Hardtop、Convertible、Nomadなど華やかなBODYを持つ。
となります。
つまりSeries差は、
Chromeの量
だけではありません。
どんなBODYを選べるか
まで違います。
ここを理解すると1956 Chevroletが一気に面白くなります。
MUDIMU BODY MAP|1956 ONE-FIFTY
1956 One-FiftyをMUDIMU式にまとめます。
SERIES 1500
↓
1502 / 56-1211
2-Door Sedan
6-passenger
↓
1503 / 56-1219
4-Door Sedan
6-passenger
↓
1512 / 56-1211B
Utility Sedan
3-passenger
↓
1529 / 56-1263F
Handyman
2-Door Station Wagon
6-passenger
この4本です。Factory SpecificationsとPeriod Showroom資料の双方で、これら4 BODYがOne-Fifty Lineupとして確認できます。
WHICH ONE IS MUDIMU?|一番気になる150
MUDIMUとして一台選ぶなら、かなり迷います。
Utility Sedanも面白い。
しかし、やはり、
150 Handyman。
2枚ドア。
Station Wagon。
装飾は少ない。
実用車。
Nomadほど有名ではない。
それでもBODYとして最高に格好いい。
これはMUDIMUが追うべきChevroletそのものです。
有名なNomadだけではなく、その隣にいたHandymanまで残す。
1956年も、この姿勢は変えません。
CONCLUSION|150は「安いChevy」では終わらない
1956 Chevrolet One-Fifty。
Series 1500。
BODYは基本4種類。
1502 — 2-Door Sedan
1503 — 4-Door Sedan
1512 — Utility Sedan
1529 — Handyman 2-Door Wagon
Hardtopはない。
Convertibleもない。
Nomadもない。
しかし、
Utility Sedanがある。
2-Door Handymanがある。
だから150は面白い。
華やかなBel Airとは違う方法で、1956年当時のChevroletが何を必要としていたのかを見せてくれます。
豪華なChevroletだけが歴史ではない。働くため、運ぶため、安く乗るために作られたBODYもChevroletの歴史だ。
そして150 Handymanを見ると、さらに一つ分かります。
実用BODYだからといって、格好悪く作る必要はない。
1956 Chevrolet 150。
MUDIMUではBel Airの廉価版としてではなく、
Utility Sedanと2-Door Wagonを持つ、独立したBODY Family
として記録します。

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