1957 Chevroletを調べ始めると、多くの人が最初に魅了されるのはHardtopである。
窓を下ろした時に現れる開放的なサイドビュー。
B-Pillarを持たない美しいシルエット。
そして1950年代アメリカ車特有の華やかさ。
その中心にいたのがSport CoupeとSport Sedanだった。
しかし実際にFactory資料を追い始めると、一つの疑問が生まれる。
Sport CoupeとSport Sedanは何が違うのか。
どちらもHardtopである。
どちらもPillarlessである。
どちらも1957 Chevroletを代表する人気モデルである。
それなのにChevroletは別のModel Numberを与え、別のStyle Numberを与え、別の商品として販売していた。
つまりFactoryは両者を明確に区別していたのである。
MUDIMU No.020では、
2127|210 Sport Coupe
2427|Bel Air Sport Coupe
2119|210 Sport Sedan
2419|Bel Air Sport Sedan
この4台を比較しながら、1957 Chevrolet Hardtop Familyの全体像を整理していく。
Hardtop Familyとは何か
現在ではHardtopという言葉を聞く機会は少なくなった。
しかし1950年代のアメリカでは、Hardtopは憧れのBODY形式だった。
Convertibleは魅力的だった。
しかし価格が高かった。
構造も複雑だった。
雨や寒さにも弱かった。
そこで登場したのがHardtopである。
固定式Roofを持ちながら、Side ViewはConvertibleのように見える。
窓をすべて下ろすとB-Pillarが消え、大きな開口部が現れる。
この「開放感」と「実用性」の両立こそがHardtopの魅力だった。
1957 Chevroletでは、そのHardtopをさらに細分化していた。
2ドアのSport Coupe。
4ドアのSport Sedan。
そして210とBel Air。
同じHardtopでも、顧客ごとに商品を作り分けていたのである。
1957 Chevrolet Hardtop Family一覧
まず全体を整理しよう。
| Series | Model | Body | Fisher Style |
|---|---|---|---|
| 210 | 2127 | Sport Coupe | 1037 |
| Bel Air | 2427 | Sport Coupe | 1037D |
| 210 | 2119 | Sport Sedan | 1069 |
| Bel Air | 2419 | Sport Sedan | 1069D |
ここで重要なのは、
1037 Family
1069 Family
という二つのBODY系統が存在することだ。
1037系は2-Door Hardtop。
1069系は4-Door Hardtop。
つまりChevroletとFisher Bodyは最初から別BODYとして管理していた。
単なるドア枚数の違いではない。
BODY Familyそのものが異なっていたのである。
1037 Familyとは何か
1037 FamilyはSport Coupe系である。
2127と2427。
この二台が属する。
現在のクラシックカー市場で最も有名なのも、この1037 Familyだろう。
特に2427。
Bel Air Sport Coupe。
1957 Chevroletの象徴とも言える存在である。
映画。
雑誌。
模型。
ポスター。
カレンダー。
多くの場所で使われてきた。
その結果、
「1957 Chevrolet=Sport Coupe」
というイメージが定着した。
しかしFactory資料を見ると、それは全体の一部に過ぎない。
1069 Familyとは何か
一方で1069 FamilyはSport Sedan系である。
2119と2419。
どちらも4-Door Hardtop。
しかし現在はSport Coupeほど語られない。
理由は単純だ。
派手さで負けるからである。
2ドア車はスポーティに見える。
4ドア車は実用的に見える。
だからコレクター市場ではSport Coupeが目立つ。
しかし1957年当時は事情が違った。
家族を持つ人。
長距離移動をする人。
仕事で使う人。
そうした顧客にとって4ドアは重要だった。
そして彼らもHardtopの美しさを求めた。
その答えがSport Sedanだったのである。
Roof比較
Sport CoupeとSport Sedanを見分けるとき、多くの人はまずドア枚数を見る。
確かにそれは分かりやすい。
しかしMUDIMUでは、その前にRoofを見る。
なぜならHardtopの個性はRoof Designに最も強く現れるからである。
Sport CoupeのRoof
2127と2427。
つまり1037 Family。
この二台は典型的な1950年代American Hardtopの姿を持つ。
長いドア。
短いキャビン。
流れるRoof。
横から見ると非常にスポーティだ。
特に2427 Bel Air Sport Coupeは、
1957 Chevroletを象徴するシルエットとして世界中で知られている。
RoofはFront WindshieldからRear Glassへ向かって滑らかに流れる。
その結果、
車全体が低く長く見える。
これがSport Coupe最大の魅力である。
Sport SedanのRoof
2119と2419。
1069 Family。
こちらはまったく違う。
4枚ドアを成立させるため、
Roofが長い。
Passenger Spaceも大きい。
Rear Door開口部も必要になる。
その結果、
Roof Designはより実用的になる。
しかしHardtopらしさは失われていない。
B-Pillarが無い。
窓を下ろすと大きな開口部が現れる。
だからSport Sedanも立派なHardtopなのである。
Glass比較
Hardtop研究で重要なのがGlass Areaである。
SedanとHardtopの違いは、
単なる柱の有無ではない。
Glass構成そのものが違う。
Sport Coupe
長いDoor Glass。
大型Quarter Glass。
流れるようなSide Opening。
この構成によって、
スポーティな印象が生まれる。
Sport Sedan
Front Door Glass。
Rear Door Glass。
Quarter Glass。
構成要素が増える。
しかしB-Pillarが存在しないため、
Side Openingは非常に大きい。
これがSport Sedan最大の特徴だ。
Door比較
ここも面白い。
Sport Coupe
2枚ドア。
そのため一枚一枚が非常に大きい。
乗り降りもしやすい。
そしてSide Viewが美しい。
Sport Sedan
4枚ドア。
ドアは短くなる。
しかしRear Passengerは圧倒的に使いやすい。
家族用途では有利である。
Side View比較
Hardtop Family研究で最も重要な視点。
真横から見たとき、
Sport CoupeとSport Sedanは別の車に見える。
Sport Coupe
長いFront Door。
短いCabin。
短いRoof。
スポーティ。
Personal Car的。
Sport Sedan
4枚ドア。
長いCabin。
長いRoof。
実用的。
Family Car的。
しかしどちらもHardtop。
ここが重要である。
2127 vs 2427
同じSport Coupeでも違いがある。
2127は210 Series。
2427はBel Air Series。
BODYは近い。
しかしSeriesが違う。
価格も違う。
Exterior Trimも違う。
Interiorも違う。
Bel Airは最上級Seriesとして位置付けられていた。
2119 vs 2419
Sport Sedanでも同じだ。
2119は210。
2419はBel Air。
同じ1069 Family。
しかし商品としての位置付けは異なる。
Bel Airはより華やかで、
より高価だった。
Production比較
現在確認できるCompiled資料では、
Sport Coupe系の生産台数は非常に大きい。
特に2427。
Bel Air Sport Coupeは1957 Chevroletを代表する量産モデルだった。
一方、
2419も決して少ないわけではない。
当時のアメリカでは、
4ドア需要が非常に強かった。
そのためSport Sedanも重要な販売モデルだった。
Factory Price比較
価格を見ると、
Chevroletの商品戦略が見えてくる。
210とBel Air。
差額が存在する。
その差額は何だったのか。
Chrome。
Trim。
Interior。
Series Prestige。
単純に装飾だけではない。
ChevroletはBel Airを特別な存在として売っていた。
Hardtop文化
1950年代アメリカでは、
Hardtopは一種のステータスだった。
Convertibleほど高価ではない。
しかし見た目は華やか。
そして日常的に使える。
だから人気があった。
1957 Chevroletは、
そのHardtop文化を最も象徴する車の一つだった。
Identification
MUDIMUでは常に同じ結論へ戻る。
まずBODYを見る。
Engineではない。
Chromeでもない。
BODYである。
Style Number
2127=1037
2427=1037D
2119=1069
2419=1069D
この識別が基本になる。
Body Tag
Body TagはFactory Identityを示す。
Engineは交換できる。
Paintも変えられる。
Interiorも変更できる。
しかしBody Tagはその車の出生証明書である。
だから最初に見る。
Clone問題
Bel Air人気が高いため、
Bel Air風に変更された車も存在する。
しかしStyle Numberまでは変わらない。
だからBody Tag確認が重要になる。
Hardtop Familyが教えてくれること
Hardtop Familyを研究すると、
1957 Chevroletが単なる一台の車ではなかったことが分かる。
顧客ごとに商品が用意されていた。
Sport Coupe。
Sport Sedan。
210。
Bel Air。
同じHardtopでも、
役割が違う。
そこに1957 Chevroletの商品設計の面白さがある。
Hardtopは「柱を取っただけの車」ではない
1957 ChevroletのHardtop Familyを研究していると、
時々、
「Sedanから柱を取っただけですよね」
という説明を見かける。
しかし実際にはそう単純ではない。
B-Pillarを取り除く。
それだけで済むなら、
Factoryは別Style Numberを用意しない。
別BODYとして管理もしない。
実際には、
Roof Structure。
Door Opening。
Glass Mechanism。
Quarter Glass。
Weatherstrip。
Body Reinforcement。
多くの要素が関係する。
だから1037と1069は、
単なるSedan改造版ではなく、
最初からHardtopとして設計されたBODYと考えるべきである。
Chevroletはなぜ4台もHardtopを作ったのか
ここが面白い。
ChevroletはHardtopを一台だけ作ることもできた。
しかし実際には違った。
2127
2427
2119
2419
四台を用意した。
なぜか。
顧客が違ったからである。
2127の顧客
210 Sport Coupe。
比較的価格を抑えたい。
しかしHardtopに乗りたい。
そうした顧客層を想定していた。
2427の顧客
Bel Air Sport Coupe。
最上級Series。
華やかなExterior。
豪華なInterior。
1957 Chevroletの憧れを求める顧客。
それが2427だった。
2119の顧客
210 Sport Sedan。
家族用途。
実用性重視。
しかしHardtopの美しさも欲しい。
そんな人のための車だった。
2419の顧客
Bel Air Sport Sedan。
4ドア。
Hardtop。
Bel Air。
つまり実用性と上級感を両立したい顧客向けである。
Family CarとしてのSport Sedan
現代では2ドア車が特別に見える。
しかし1957年当時は事情が違った。
4ドア車は重要な主力商品だった。
子供を乗せる。
旅行へ行く。
友人を乗せる。
長距離を移動する。
そうした用途を考えれば、
Sport Sedanは非常に合理的だった。
現在の人気と当時の人気
ここは分けて考えたい。
現在のCollector市場。
現在のCar Show。
現在のAuction。
これらではSport Coupeが目立つ。
しかし1957年当時は、
Sport Sedanも十分に魅力的だった。
Factory Productionがそれを示している。
Sport Coupeは夢を売った
Sport Coupeを見ると分かる。
長いドア。
流れるRoof。
Pillarless Side。
そこには夢がある。
Personal Carとしての魅力がある。
だから広告でも使われた。
だから人々の記憶に残った。
Sport Sedanは生活を支えた
一方でSport Sedanは違う。
家族を運ぶ。
日常を支える。
実用性を担う。
しかしHardtopである。
ここが重要だ。
単なる4ドアセダンではない。
4ドアHardtopだった。
1037 Familyと1069 Family
ここまで見てくると、
二つのFamilyの違いが見えてくる。
1037 Family
2127
2427
Sport Coupe Family
1069 Family
2119
2419
Sport Sedan Family
どちらもHardtop。
しかし役割は違う。
Dの存在
ここで再びStyle Numberへ戻る。
1037
1037D
1069
1069D
Bel Air系にはDが付く。
この規則性は非常に興味深い。
MUDIMUでは今後も追跡を続ける。
Identificationの基本
現存車を見る時、
何を見るべきか。
まずBody Tag。
これが基本になる。
Engineは交換できる。
Transmissionも交換できる。
Interiorも変更できる。
しかしFactory Style Numberは重要な手掛かりとして残る。
BODY Identityという考え方
MUDIMUでは、
BODY Identity
という考え方を重視している。
その車は何として生まれたのか。
まずそこを見る。
その後でEngineを見る。
その後でPaintを見る。
その後でTrimを見る。
順番が重要である。
Hardtop Family研究の意味
Hardtop Family研究は、
単に四台を比較することではない。
1957 Chevroletの商品設計を理解することだ。
Chevroletは顧客ごとに、
異なるHardtopを用意した。
そしてそれぞれに役割を与えた。
その考え方が見えてくる。
MUDIMUの結論
Sport CoupeとSport Sedan。
どちらが上か。
どちらが下か。
そういう話ではない。
役割が違う。
顧客が違う。
生活が違う。
だからBODYが違う。
そしてChevroletは、
その違いを理解した上で四台のHardtopを作った。
2127。
2427。
2119。
2419。
この四台を並べると、
1957 Chevroletの豊かさが見えてくる。
Hardtop Family完成
No.015
210 Sport Coupe
No.016
Bel Air Sport Coupe
No.018
210 Sport Sedan
No.019
Bel Air Sport Sedan
そしてNo.020。
ここでHardtop Family研究は一つの区切りを迎える。
しかし終わりではない。
ここから先には、
Convertible。
Wagon。
Sedan Delivery。
Nomad。
さらに多くのBODY Familyが待っている。
MUDIMU Research Note
A|Hardtop Family整理
1957 Chevrolet Passenger CarのHardtop系として2127、2427、2119、2419を確認。
A|Sport Coupe Family
2127=1037、2427=1037D。
A|Sport Sedan Family
2119=1069、2419=1069D。
A|Pillarless Hardtop
4車種ともB-Pillarを持たないHardtop構造。
A|Series分類
210系とBel Air系で商品構成が分かれる。
A|BODY Identity
Style Numberによる識別が可能。
A|Body Tag重要性
Factory Identity確認の最重要資料。
?|Production資料差異
Compiled Sources間で差異あり。
?|Factory Price詳細比較
今後Primary資料と照合。
?|1037と1069の構造差
Fisher Body資料による追加研究が必要。
?|D Suffixの意味
Bel Air系Style Numberとの関連を継続研究。
黒猫タンゴの視線
私は最初、
1957 ChevroletのHardtopは一種類だと思っていた。
しかし調べれば調べるほど違った。
2127がある。
2427がある。
2119がある。
2419がある。
同じHardtop。
同じ1957年。
同じChevrolet。
それなのに性格が違う。
Sport Coupeは夢を見せてくれる。
Sport Sedanは生活を支えてくれる。
Bel Airは華やかだ。
210は堅実だ。
その違いを理解すると、
1957 Chevroletは単なるクラシックカーではなくなる。
巨大な体系になる。
そしてその体系を理解する鍵が、
Model Numberであり、
Fisher Style Numberであり、
Body Tagなのだと思う。
No.020を書き終えた今、
私が次に見たいのはOpen Car Familyである。
Hardtopの次はConvertible。
1957 Chevroletが見せたもう一つの夢を追いかけてみたい。
