1957 Chevroletの純正外装色・Paint Code・Series別仕様を読み解く
1957 Chevroletの魅力を語るとき、BODYのデザインやエンジンと並んで重要なのがFactory Colorである。
1957年型のChevroletには、Onyx Blackのような落ち着いた色から、Tropical Turquoise、Matador Red、Canyon Coral、Sierra Goldといった存在感のある色まで、さまざまな外装色が用意されていた。さらに、上部と下部で色を分けるTwo-Tone仕様が、1950年代アメリカ車らしい個性を生み出していた。
しかし、現在のクラシックカー市場で見かける車両が、必ずしも当時のFactory仕様を保っているとは限らない。過去のレストアで色が変更された車両もあれば、同じ色名でも塗料メーカーや塗装方法、経年変化によって見た目が異なる車両もある。
そこで重要になるのが、当時のPaint Combination Chart、車体に残されたCowl Tag、Factory資料、そして実車の塗装状態を照合する作業だ。
本稿では、1957 Chevroletの外装色を研究するための基本情報を整理し、Paint Codeの読み方、単色とツートーンの違い、Series別の注意点、オリジナル塗装を調べる方法まで解説する。
1|1957 ChevroletのFactory Colorとは何か
Factory Colorとは、メーカーが新車を製造・出荷する際に設定していた塗装色を指す。
1957 Chevroletでは、外装色を示す色名だけでなく、車両のBODYプレートに記録されたPaint Combination Numberが重要な手掛かりとなる。
当時のChevroletの塗装資料には、色の組み合わせ番号、適用されるモデル、上部BODYの色、下部BODYの色、ホイールの色などが整理されている。これらの資料は、現在のレストア作業でもFactory仕様を調べるための基礎資料として利用できる。
参考資料:Chevrolet Passenger Car Paint Combination Charts
ここで注意したいのは、Paint Combination Numberと塗料そのものの調色番号は、同じ意味ではないということだ。
Paint Combination Numberは、車両に採用された塗装の組み合わせを識別するための番号である。一方、塗料メーカーの番号は、実際に塗料を調合する際の色指定に使われる。
また、車両のCowl Tagに記録されたPaint情報と、現在の塗装色が一致しているとは限らない。長い年月の間に再塗装されている可能性があるからだ。
Factory Colorを研究する際には、次の3つを分けて考える必要がある。
- 当時のFactory資料に記録された塗装仕様。
- 車両の識別プレートに残されたPaint情報。
- 現在の実車に塗られている色。
この3つが一致していれば、オリジナル仕様を裏付ける材料になる。もし一致しない場合は、再塗装、修復、部品交換、資料の読み違いなどを調べる必要がある。
2|1957年型の代表的な外装色
1957 Chevroletの外装色を調べる際には、まず代表的な色名とPaint Combination Numberを把握しておきたい。
以下は、1957年型の塗装資料に登場する代表的な色である。番号は当時のPaint Combination Chartに記録された番号で、色名そのものと調色用番号は区別して扱う。
| Paint Combination Number | Factory Color |
|---|---|
| 793 | Onyx Black |
| 794 | Imperial Ivory |
| 795 | Larkspur Blue |
| 796 | Harbor Blue |
| 797 | Surf Green |
| 798 | Highland Green |
| 799 | Tropical Turquoise |
| 800 | Colonial Cream |
| 801 | Canyon Coral |
| 802 | Matador Red |
| 803 | Coronado Yellow |
| 804 | Inca Silver |
| 805 | Sierra Gold |
| 806 | Adobe Beige |
出典:1957 Chevrolet Paint Combination Chart、1957 Chevrolet Paint Mix Codes
この表は、代表的な色を把握するための一覧であり、全BODYにすべての色が設定されていたことを意味するものではない。
実際の適用範囲は、Series、BODY Style、特定の装備や仕様によって異なる。たとえば、Paint Combination Number 799のTropical Turquoiseは、資料上、150 SeriesではModel 1508を除くと記載されている。このように、色名が同じ年式のChevroletに存在していても、特定のBODYに適用できるとは限らない。
また、上の番号はすべての色に対する単純な塗料番号ではなく、当時の資料における塗装組み合わせの識別番号である。塗料を実際に注文するときには、調色用のコードも別途確認する必要がある。
3|Onyx Black|1957 Chevroletの基本色
Onyx Blackは、1957 Chevroletの外装色を研究する際に欠かせない色のひとつである。
黒いボディは、1957年型の特徴的なフェンダーライン、フロントグリル、クロームトリム、テールフィンの形状を強調する。明るい色に比べて、ボディの面やクロームの反射が際立って見えるのも特徴だ。
Factory資料では、Onyx BlackはPaint Combination Number 793に関連づけられている。Two-Toneの組み合わせにも黒を使用した仕様があり、India IvoryとOnyx Blackの組み合わせなどが記録されている。
ただし、現在の車両が黒いからといって、Factory出荷時も黒だったと判断することはできない。
黒は再塗装後にも選ばれやすい色であり、過去のレストアで別の色から変更されている可能性もある。トランク内部、ドアの内側、モールの下、エンジンルームの奥など、塗装の履歴が残りやすい場所を調べることが重要になる。
さらに、当時のOnyx Blackと現代の塗料で再現した黒は、光沢や表面の見え方が同一とは限らない。色名だけでなく、塗料の配合や塗装工程も考慮する必要がある。
4|Ivory系カラー|Two-Toneを支える明るい色
1957 ChevroletのTwo-Tone仕様を調べると、India IvoryやImperial Ivoryといった明るい色が重要な役割を果たしていたことが分かる。
Ivory系の色は、ルーフや上部BODY、サイドの塗り分け部分などに使われ、濃い色との対比によって車体の形状を際立たせていた。
India IvoryとImperial Ivoryは名前が似ているが、同じ色として扱うべきではない。それぞれのFactory仕様やPaint Codeを確認し、資料に記載された色名を正確に記録する必要がある。
また、写真で見ると、Ivory系カラーは白に近く見える場合もあれば、クリーム色やベージュに近く見える場合もある。これは、撮影時の光、カメラのホワイトバランス、画面の設定、塗装の経年変化などが影響するためだ。
オリジナルカラーを再現する際には、インターネット上の写真だけで色を決めないことが重要である。当時の塗装資料と、信頼できる塗料メーカーの調色情報を確認したうえで、実際の塗料サンプルを比較するのが望ましい。
5|Blue系カラー|Larkspur BlueとHarbor Blue
1957 ChevroletのBlue系カラーでは、Larkspur BlueとHarbor Blueが重要な色名として登場する。
Larkspur Blueは、明るさや彩度を感じさせる青系の色であり、Harbor Blueはより深い印象の青系カラーとして区別される。
当時の塗装資料では、Larkspur BlueはPaint Combination Number 795、Harbor Blueは796に関連づけられている。
この2色は、単色仕様だけでなく、ツートーンの組み合わせを研究する際にも重要になる。明るいIvory系カラーと組み合わせることで、ルーフやボディの塗り分けがはっきりと見える仕様も存在した。
ただし、色名だけで「このBODYには必ずこの色が使われていた」と判断してはいけない。Factory資料では、特定の色や組み合わせについてSeriesやBODY Styleの適用条件が記載されている。
たとえば、Two-ToneのPaint Combination Number 809は、150 SeriesとBel AirではHarbor Blueを中心とした仕様として記載される一方、210 SeriesではHarbor BlueとLarkspur Blueの組み合わせが記録されている。
つまり、同じ組み合わせ番号でも、Seriesによって塗り分けの内容が異なる場合がある。資料を読む際には、番号だけでなく、Model Usageと色の配置を合わせて確認することが大切だ。
6|Green系カラー|Surf GreenとHighland Green
1957 ChevroletのGreen系カラーでは、Surf GreenとHighland Greenを区別して理解したい。
Surf Greenは明るい印象のグリーン系カラー、Highland Greenはより深みのあるグリーン系カラーとして知られている。
当時の資料では、Surf GreenはPaint Combination Number 797、Highland Greenは798に関連づけられている。
この2色を使ったツートーン仕様では、明るい色と濃い色の組み合わせによって、車体の面や装飾の境界が強調される。
1957 ChevroletのBODYは、ルーフやサイドのプレスライン、フェンダー、リアクォーターなど、塗り分けによって印象が大きく変わる形状を持っている。Green系の組み合わせは、その立体感を読み取るためのよい題材になる。
ただし、現在の車両写真で緑色に見えるからといって、Factory ColorがSurf GreenまたはHighland Greenだったと断定することはできない。
現代の塗料で近似色に塗られている場合もあれば、経年変化で色味が変わっている場合もある。車両のPaint情報とFactory資料を照合することが必要だ。
7|Tropical Turquoise|1957年を象徴する色のひとつ
Tropical Turquoiseは、1957 Chevroletを象徴する色のひとつとして、多くのコレクターに知られている。
青と緑の中間にあるような独特の色味は、クロームの装飾や明るいルーフカラーと組み合わさることで、1950年代アメリカ車らしい華やかな印象を生み出す。
当時の塗装資料では、Tropical TurquoiseはPaint Combination Number 799に関連づけられている。また、India Ivoryなどと組み合わせたTwo-Tone仕様も資料に記録されている。
しかし、Tropical Turquoiseを調べるときには、色名だけでなく、車両のSeriesやBODY Styleも確認する必要がある。
当時のPaint Combination Chartでは、Number 799の適用範囲に150 SeriesのModel 1508を除くという条件が付されている。Sedan Deliveryのような特定のBODYを研究する場合、一般的な乗用車の塗装仕様をそのまま当てはめないことが重要だ。
また、Tropical Turquoiseは写真によって青に寄って見えたり、緑に寄って見えたりする。モニター上の色を基準にして塗料を決めるのではなく、調色用資料と実物の塗料サンプルを使って判断するべきである。
8|Red・Coral・Yellow系カラー
1957 Chevroletには、Matador Red、Canyon Coral、Coronado Yellowなど、明るく個性的な色も用意されていた。
Matador Redは、赤系カラーの中でも印象的な色名である。Factory資料ではPaint Combination Number 802に関連づけられている。
Canyon CoralはNumber 801、Coronado YellowはNumber 803に関連づけられている。
これらの色は、当時のデザインが持つ華やかさを強調し、クロームトリムや明るいルーフとの組み合わせによって、車体の印象を大きく変える。
ただし、鮮やかな色ほど、写真や現代の塗料サンプルだけでFactory Colorを判断することは難しい。
赤や黄色は、撮影時の露出や光源の違いによって見え方が変わりやすい。さらに、長年の紫外線や塗装の劣化によって、現在の塗装が当時の色から変化している場合もある。
車両を研究する際には、現在の色の印象と、Factory資料に記録された色名・コードを別々に記録することが望ましい。
9|Silver・Gold・Beige系カラー
1957 Chevroletの色を研究する際には、Silver、Gold、Beige系カラーも見逃せない。
Inca SilverはPaint Combination Number 804、Sierra Goldは805、Adobe Beigeは806に関連づけられている。
Silver系カラーは光の反射によって印象が変わりやすく、Gold系カラーは光源によって黄色や茶色に近く見える場合がある。Beige系カラーも、周囲の色や撮影条件によって、明るいクリーム色から濃いベージュまで幅広い印象になる。
こうした色は、当時の塗装資料に記載された名称だけでなく、実際の塗装サンプルを確認することが重要になる。
また、GoldやSilver系の色名は、1957 Chevroletの特定のTwo-Tone仕様を調べる際にも登場する。色名だけを記録するのではなく、Upper Body、Lower Body、Wheel Colorの配置まで確認することで、Factoryの塗装構成をより正確に理解できる。
10|Two-Tone Colorとは何か
Two-Tone Colorとは、車体の上部と下部などを異なる色で塗り分ける仕様を指す。
1957 Chevroletでは、Two-Toneの塗装がデザイン上の重要な要素になっていた。ルーフや上部BODYを明るい色にし、下部BODYを濃い色にするなど、色の対比によって車体の形状を強調する方法が採用されていた。
ただし、Two-Toneは単に好きな2色を自由に組み合わせたものではない。Factory資料には、当時設定されていた組み合わせと、適用されるSeriesやBODY Styleが記録されている。
たとえば、Paint Combination Number 807では、India IvoryとOnyx Blackの組み合わせが記載されている。Number 808ではImperial IvoryとInca Silverの組み合わせが記録されている。
さらに、Number 810では、India IvoryとLarkspur Blueの組み合わせが登場する。資料上では、Seriesによって適用範囲が指定されているため、番号だけを見てすべての車両に適用できると判断してはいけない。
参考資料:1957 Two-Tone Paint Combination Chart
Two-Toneを研究するときには、少なくとも次の項目を確認する。
- Upper Bodyの色。
- Lower Bodyの色。
- Wheel Color。
- SeriesとBODY Styleの適用範囲。
- Cowl Tagに記録されたPaint情報。
- 実車の塗り分け位置とFactory資料との一致。
これらを照合することで、単に色が似ている車両と、Factoryの塗装構成を再現した車両を区別しやすくなる。
11|Seriesによって色の適用範囲が違う
1957 Chevroletの外装色を研究する際に、最も注意したいことのひとつがSeries別の適用範囲である。
1957年型にはOne-Fifty、Two-Ten、Bel Airという主要なSeriesがあり、Station WagonやSedan DeliveryなどのBODYも存在した。
同じ年式であっても、すべてのSeries、すべてのBODYに同じPaint Combinationが設定されていたわけではない。
たとえば、当時の資料では、Paint Combination Number 799のTropical Turquoiseは、150 SeriesではModel 1508を除くという条件が付されている。また、Two-Toneの組み合わせについても、150 Series、210 Series、Bel Air Seriesで適用条件が異なる例がある。
そのため、Factory Colorを確認する場合には、次の順番で調べるのがよい。
- 車両の年式を確認する。
- Seriesを確認する。
- BODY Styleを確認する。
- Paint Combination Chartで適用範囲を調べる。
- 車両のCowl Tagに記録されたPaint情報を照合する。
- 実車の塗装状態を確認する。
この順番を守ることで、同じ1957 Chevroletだからという理由だけで、誤った色の組み合わせを当てはめることを防げる。
12|Cowl TagのPaint情報を読む
Factory Colorを研究する際には、Cowl Tagの確認が欠かせない。
1957 ChevroletのCowl Tagには、BODY Style、BODY Number、Trim、Paintなど、車両のBODY仕様を研究するための情報が記録されている。
Paint欄の情報は、Factoryの塗装仕様を確認するうえで重要な手掛かりになる。ただし、プレートの読み方やコードの意味は、年式に対応した資料で確認する必要がある。
また、Cowl TagはBODYに関する情報を調べるためのプレートであり、VINとは役割が異なる。車両全体の識別情報とBODYの仕様情報を組み合わせることで、より正確な研究ができる。
実車を確認するときは、プレート全体の写真を撮影し、文字や番号を正確に記録しておきたい。
文字が読みづらい場合には、斜めから光を当てて撮影する、複数の角度から写真を撮るなどの方法が役立つ。ただし、プレートを削ったり、無理に磨いたりすると、元の情報を損なうおそれがあるため注意したい。
Cowl TagのPaint情報が分かったら、1957年型のPaint Combination Chartと照合する。番号だけで判断せず、SeriesやBODY Styleの条件も確認することが重要だ。
13|現在の塗装とFactory Colorを区別する
長い年月を経たクラシックカーでは、現在の塗装がFactory Colorと一致しているとは限らない。
過去のオーナーが好みの色に塗り替えている場合もあれば、事故修復や腐食修理に伴って一部または全体が再塗装されている場合もある。
さらに、以前のレストアで、当時のFactory Colorに似た色を選んで塗装している可能性もある。
そのため、現在の塗装がFactory Colorに見えることと、実際にFactory出荷時の塗装であることは別の問題として扱う必要がある。
オリジナル塗装を調べる際には、次の箇所を確認するとよい。
- ドアの内側や折り返し部分。
- トランク内部やスペアタイヤ周辺。
- モールの下や取り付け部分。
- エンジンルームの奥。
- ゴム部品や内張りの裏側。
- 修復歴が分かる部分の塗装の重なり。
ただし、こうした場所に残っている塗装が、必ずFactory出荷時の塗装だとは限らない。過去に部分塗装されている可能性もあるため、複数の箇所を確認することが望ましい。
Cowl TagのPaint情報、Factory資料、車両の履歴、実車の塗装状態が一致して初めて、オリジナル仕様である可能性を強く裏付けられる。
14|色見本と画面上の色は同じではない
Factory Colorを調べる際に、インターネット上の写真は便利な資料になる。しかし、写真に写った色をそのまま正確な色見本として扱うことはできない。
写真の色は、撮影時の光源、天候、カメラの設定、画像編集、モニターの色設定などによって変化する。
同じ車両でも、日なたでは明るく鮮やかに見え、日陰では暗く落ち着いた色に見えることがある。SilverやGoldなどの色は、光の角度によって特に印象が変わりやすい。
また、現代の塗料で再現した色と、1957年当時の塗料の見え方が完全に一致するとは限らない。
そのため、オリジナルカラーを再現する場合には、Paint Combination Numberを調べるだけでなく、当時の塗装資料や信頼できる調色資料を確認し、実物の塗料サンプルで比較することが重要になる。
画像資料は色の印象や塗り分け位置を理解するために使い、最終的な調色は専門資料と実際の塗料を基準に判断する。この使い分けが、Factory Colorを正確に研究するための基本となる。
15|Factory Colorを調べる実践手順
1957 ChevroletのFactory Colorを調べるときは、最初から色名を決めつけるのではなく、確認できる情報を順番に集めていくとよい。
Step 1|車両の基本情報を記録する
年式、Series、BODY Style、Model Number、VINを記録する。車両の識別情報が不明確な場合は、色の研究よりも先に車両自体の識別を進める。
Step 2|Cowl Tagを確認する
プレートのSTYLE、TRIM、PAINTなどの情報を読み取り、写真と文字記録を残す。文字が不鮮明な場合は、無理に推測せず、判読できる部分とできない部分を分けておく。
Step 3|当時のPaint資料を調べる
1957年型のPaint Combination Chartを参照し、Paint Numberに対応する色名を確認する。Two-Toneの場合は、Upper BodyとLower Bodyの組み合わせも調べる。
Step 4|SeriesとBODY Styleの条件を確認する
資料に記載されたModel Usageを確認する。特定のBODYが対象外になっていないか、色の組み合わせがそのSeriesに適用されているかを調べる。
Step 5|実車の塗装を確認する
内側や隠れた部分に残る塗装を観察し、Cowl Tagの情報と一致するかを確認する。再塗装や修復の痕跡があれば、その情報も記録する。
Step 6|確認結果を整理する
Factory資料、Cowl Tag、実車の塗装状態が一致するかをまとめる。すべてが一致した場合でも、確定できた事実と推定にとどまる部分を区別して記録する。
この手順は、1957 Chevroletの外装色を研究するための基本的な流れとして利用できる。
16|コレクターがFactory Colorを記録する意味
Factory Colorを調べることは、単に車体を元の色に塗り直すためだけの作業ではない。
色の記録は、その車両がどのような仕様で製造されたのかを理解するための重要な情報になる。
同じ1957 Chevroletでも、SeriesやBODY Style、塗装の組み合わせによって印象が大きく変わる。Factory Colorを正しく把握すれば、写真資料を比較するときにも、車両の仕様をより深く理解できる。
また、購入を検討している車両について、現在の塗装色とFactory資料が一致するかを確認すれば、レストアの履歴やオリジナル仕様について、より具体的な質問ができるようになる。
ただし、Factory Colorがオリジナルであることだけで、車両の価値が自動的に決まるわけではない。BODYの状態、修復品質、エンジンや装備、書類の整合性など、ほかの要素も合わせて判断する必要がある。
MUDIMUでは、色名を並べて終わるのではなく、Factory資料を使って車両の仕様を読み解くことを重視する。
色を調べることは、1957 Chevroletがどのような姿で製造され、どのように現在まで残ってきたのかを研究する作業でもある。
MUDIMU Research Note
本稿では、1957 ChevroletのFactory Colorを研究するための基本情報として、Paint Combination Number、代表的な色名、Two-Tone仕様、Series別の適用条件、Cowl Tagの確認方法を整理した。
当時のPaint Combination Chartでは、Onyx Black、Imperial Ivory、Larkspur Blue、Harbor Blue、Surf Green、Highland Green、Tropical Turquoise、Colonial Cream、Canyon Coral、Matador Red、Coronado Yellow、Inca Silver、Sierra Gold、Adobe Beigeなどの色名が確認できる。
ただし、色名とPaint Combination Numberだけで、すべてのBODYに適用可能な仕様が分かるわけではない。資料にはModel Usageが記載されており、SeriesやBODY Styleによって適用条件が異なる場合がある。
また、Paint Combination Numberは塗装の組み合わせを識別するための番号であり、塗料の調色番号と同一ではない。実際に塗料を再現する場合には、当時の塗装資料と塗料メーカーの調色情報を照合する必要がある。
Factory Colorの確認では、Cowl TagのPaint情報、Factory資料、実車の塗装状態を組み合わせることが重要である。現在の外装色だけを根拠に、Factory出荷時の色を断定することはできない。
MUDIMUでは、確認できた情報、資料から読み取れる情報、推定にとどまる情報を区別し、実車研究に使えるアーカイブとして記録する。
黒猫タンゴの視線
1957 Chevroletの色を調べていると、当時のアメリカ車は、色そのものがデザインの一部だったことがよく分かる。
同じBODYでも、Onyx Blackに塗られていれば落ち着いた印象になる。Tropical Turquoiseなら華やかさが増し、IvoryとのTwo-Toneでは車体の輪郭がはっきりと見えてくる。
色は、単なる仕上げではない。BODYの形をどう見せるか、クロームをどう引き立てるか、車全体をどんな印象にするかという、デザインの考え方が表れている。
だからこそ、私はFactory Colorを調べるとき、現在の車両がきれいに塗られているかどうかだけでは判断したくない。
どの色が設定されていたのか。どのBODYに使われていたのか。上部と下部はどのように塗り分けられていたのか。そして、現在の車両は当時の仕様をどこまで残しているのか。
こうした疑問をひとつずつ調べていくことで、車両の見方が変わってくる。
コレクションの面白さは、希少な車両を所有することだけではない。資料を読み、細部を観察し、知らなかった事実を見つけていくことにもある。
MUDIMUでは、1957 Chevroletの色を単なるカラー一覧として扱わず、Factory仕様を読み解くための研究テーマとして残していきたい。
まとめ|Factory Colorはコードと実車を照合して判断する
1957 ChevroletのFactory Colorを正しく研究するためには、色名、Paint Combination Number、Series、BODY Style、Cowl Tag、実車の塗装状態を組み合わせて確認する必要がある。
代表的な色名を知ることは出発点になるが、同じ色がすべてのBODYに設定されていたとは限らない。Two-Tone仕様では、色の組み合わせだけでなく、上部と下部の配置やホイールカラーも確認する必要がある。
さらに、Paint Combination Numberと塗料の調色番号は別の情報であり、Factory Colorを再現する際には、当時の資料と信頼できる塗料情報を照合することが重要だ。
色名だけで判断せず、コードを調べ、BODYの仕様を確認し、実車と照合する。 これが、1957 ChevroletのFactory Colorを研究するための基本方針である。
次のNo.037では、今回のFactory Color研究をさらに進め、Two-Toneの塗り分けと組み合わせを中心に扱う。
「1957 Two-Tone Color完全ガイド|塗り分けと組み合わせ」
色の組み合わせだけでなく、どの部分が塗装され、どの部分が金属トリムとして仕上げられていたのかを整理し、Factory仕様を実車から読み解く方法を研究する。
Internal Links
No.023, No.029, No.032, No.033, No.035, No.037, No.038, No.039, No.040, No.041, No.055
参考資料
